化学物質の自律的管理とはどういうことかを知りたい

従来まで日本の化学物質の管理は「ハザード管理」(下の左図)という管理すべき化学物質を、「使ったか、使わなかったか」という水準で管理していました。この方法は使う化学物質の危険性・有害性のレベルや、使用環境は一切考慮されず、管理に膨大なコストと時間が必要であるにも関わらず大学という環境では現実から乖離していました。

さらに年々、新しく開発された化学物質が登場するため、管理レベル(左図の赤線のX座標の位置)を厚生労働省が法令化する速度が追いつかなくなってきました。

そこで人の健康などに影響を及ぼすレベルを、使用する化学物質の「危険性や有害性(GHSレベル)」あるいは「使用する環境や条件」などの定量的なデータから算出するという方法に変更されました。

これを「リスク管理」(下の右図)と呼び、例えば同じ化学物質でも使用量や使用環境などに応じてリスク判定を行い、ばく露量が多いという結果になった場合、有効なばく露措置を取ることが義務化されました。

以上のように、化学物質のGHSレベルと使用環境・条件で管理を行うことを「化学物質の自律的管理」とよび、リスク判定することを「化学物質のリスクアセスメント」と言います。