保健学研究科

Faculty of Health Science

プログラム実施の背景
および目的

  • 介護業界におけるインフォーマルケアの拡充とDX推進

    現代社会において、高齢化が進む中、介護分野での変革が求められています。経験的に実施されてきた公的サポート(フォーマルケア)をエビデンスベースドな支援に進化させることに加え、NPOや企業が提供するような、より個別化されたサポート(インフォーマルケア)を取り入れることが、これからのキーポイントになります。しかし、特にインフォーマルケアに関するノウハウや成果は十分に共有されておらず、その有効性が広く理解されていないのが現状です。

    この課題に対し、本研究科では高齢者介護および福祉事業における多層的な支援を強化するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)を統合したリカレント教育学位プログラムを開発しました。このプログラムは看護学、リハビリテーション科学、病態解析学、パブリックヘルスの4つの分野を横断し、最新のケア技術とICTを活用したデータ分析によるサービス提供を学ぶ内容になっています。本プログラムを通じて、介護の現場の新たなリーダーを育て、得られた知見を社会に還元し、持続可能な地域共生社会の構築を目指します。

    このプログラムは異分野共創を掲げる神戸大学において、DX関連部門との強固な繋がりを持ち、かつ高齢者介護および福祉事業で活躍する専門職種人材を多数輩出してきた保健学研究科だからこそ実施できる取り組みです。

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本プログラムの特徴

現代の介護業界において、従来の標準的なケア方法(フォーマルケア)だけでは、患者一人ひとりの特定のニーズに応じた対応は困難です。本研究科ではこの課題に対応するため、最新のフォーマルケア・インフォーマルケアの利用とデジタル技術の活用に精通した人物を育成するためのリカレント教育学位プログラムを開発しました。

  • インフォーマルケアとDXの必要性

    現代の介護業界は、変化の波に直面しています。公的なサービスだけでなく、それぞれの被介護者やその家族に合わせた個別化されたケアが求められています。この課題に応えるため、従来より実施されてきたフォーマルケアの最新化に加え、インフォーマルケアとDXが統合されることの重要性が高まっています。

    従来のフォーマルケアでは、定型的なサービス提供に限界があります。しかし本プログラムで最新のフォーマルケアと先進的なインフォーマルケアのアプローチを学ぶことで、それぞれの患者やその家族に最適なサポートを検討することが可能となります。

    また、介護現場での実際のデータを活用することで、個々のケアプランの有効性を検証し、介護と研究の領域を強固に結びつける能力も育まれます。

  • 現場を活用した、包括的な学習プログラム

    まず、フォーマルケアのセクションでは、認知症やうつ病などの症状に対するエビデンスベースドな最新アプローチと効果の測定方法を学びます。一方で、インフォーマルケアのセクションでは、ロボティクスやメタバース、旅行支援、就労支援を活用した革新的なケア方法について、協力企業の専門家による実践的な講義を受けます。

    次に、IoTの活用や情報リテラシー、そしてデータサイエンスの基礎を習得します。ここでは、患者情報の収集や分析、情報セキュリティやツールの活用について詳しく学びます。また、データサイエンスとAIの基本を実践的に学ぶことで、介護の現場におけるデータ駆動型アプローチを修得します。

    最後に、高齢者施設での実践的な演習を通して、学んだ知識を現場に適用します。IoT機器の導入からデータ分析、効果検証までの一連の流れを経験し、その結果を論文にまとめて報告します。

  • 本プログラムの実施体制
    • 1

      eラーニング形式の授業体制

      プログラムの大部分はオンラインかつオンデマンド形式で提供されます。オンライン講義のアーカイブ配信も対応しているため、受講者は自分のライフスタイルに合わせて学習することが可能です。また、電子教育システムを利用して、講義の担当者と直接質問や議論ができる環境も整っています。オンデマンドでない部分については、Web会議ツールを通じての直接指導が行われます。

    • 2

      連携事業者による授業提供

      重層支援体制の全体像については、兵庫県と神戸市の方々が講義を行います。またインフォーマルケアやIoT、ICTの分野は、協力企業の専門家が講義を行います。協力を依頼している事業者は地域連携に積極的であるため、卒業後も実用的な連携体制の構築が期待できます。

本プログラムの対象者像

本プログラムは、地域医療や介護に深くかかわる事業管理者をはじめ、医療・介護分野の幅広い職種の方々に最適です。
具体的には、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、介護福祉士、ケアワーカー、ケアマネージャーなど、様々な専門職の方々が対象となります。また、情報管理を担う医療事務員の方、地域の医療・介護システムに関わる公務員の方、医療・保健関連の企業職員の方もこのプログラムの対象です。

  • 医療や介護に

    関わる人

    #一定の介護経験あり
    #リーダー候補者

  • 最新のケアについて

    学びたい人

    #インフォーマルケア
    #ロボティクス
    #メタバース
    #旅行支援

  • 医療現場の

    DXを進めたい人

    #IoT・ICT
    #情報リテラシー
    #数理・データサイエンス
    #AI

受講者の声

  • フォーマルケアに関する講義では、アルツハイマー型認知症であったり、フレイルに関しても、発症してからの介入だけでなく、発症リスクがある対象者を予めスクリーニングし、発症以前から予防的な介入を行うことの重要性について講義を通して学ぶことができました。
  • IoTの技術を医療現場に活用することで、患者の健康管理や診断の精度向上、王立的な医療サービスの提供など、さまざまな利点が生まれていることを知った。
  • データリテラシーの講義は難しいながらも部分的にその考え方を学ぶことができ、今後自身の研究を進めていくうえで参考になった。
  • インフォーマルケアとして旅行支援・就労支援などを実際に運営している方の講義が興味深かった。