○神戸大学における学術研究に係る不正行為の防止等に関する規則
| (平成18年10月26日制定) |
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目次
第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 不正行為防止のための体制(第4条-第10条)
第3章 調査申立て等の受付(第11条-第14条)
第4章 関係者の取扱い(第15条-第17条)
第5章 事案の調査(第18条-第24条)
第6章 不正行為等の裁定(第25条-第34条)
第7章 啓発等(第35条・第36条)
第8章 雑則(第37条-第39条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規則は,神戸大学の学術研究に係る行動規範(平成18年10月26日制定。以下「学術研究行動規範」という。)を受け,同規範のうち,学術研究における不正行為を防止するとともに,研究成果の発表を適切に実施するため,神戸大学(以下「本学」という。)において構成員が,学術研究活動に際し遵守すべき事項(以下「遵守事項」という。)及び遵守事項に違反する行為の有無に係る調査等について必要な事項を定めることを目的とする。
2 本学における遵守事項及び遵守事項に違反する行為の有無に係る調査等については,研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)及びその他の関係法令等に定めるもののほか,この規則の定めるところによるものとする。
(定義)
第2条 この規則において「不正行為」とは,学術研究活動において故意又は構成員としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,次の各号に掲げる行為をいう。
(1) 捏造 研究成果の作成又は報告の過程において,データ(実験,観測,観察又は解析により得られる数値又は情報をいう。以下同じ。)として実在しないものを使用すること。
(2) 改ざん 研究成果の作成又は報告の過程において実在するデータを改変して使用すること。
(3) 盗用 研究成果の作成又は報告の過程において先行する他人の研究成果(未公表のものを含む。)を他人のものであることを知りながら,それを示さないで使用すること。
(4) 上記各号以外の研究活動上の不適切な行為(他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿する二重投稿,論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップ等)であって,科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの。
2 この規則において「就業規則等」とは,国立大学法人神戸大学職員就業規則(平成16年4月1日制定),国立大学法人神戸大学船員就業規則(平成16年4月1日制定),国立大学法人神戸大学特命職員就業規則(平成18年3月28日制定),国立大学法人神戸大学特定有期雇用医療職員就業規則(平成18年3月28日制定),国立大学法人神戸大学再雇用職員就業規則(平成16年4月1日制定),国立大学法人神戸大学定年前再雇用職員就業規則(令和6年3月25日制定),国立大学法人神戸大学準正規職員就業規則(平成27年3月23日制定),国立大学法人神戸大学非常勤職員就業規則(平成16年4月1日制定)及び国立大学法人神戸大学外国人研究員取扱規則(平成16年4月1日制定)をいう。
[国立大学法人神戸大学職員就業規則(平成16年4月1日制定)] [国立大学法人神戸大学船員就業規則(平成16年4月1日制定)] [国立大学法人神戸大学特命職員就業規則(平成18年3月28日制定)] [国立大学法人神戸大学特定有期雇用医療職員就業規則(平成18年3月28日制定)] [国立大学法人神戸大学再雇用職員就業規則(平成16年4月1日制定)] [国立大学法人神戸大学定年前再雇用職員就業規則(令和6年3月25日制定)] [国立大学法人神戸大学準正規職員就業規則(平成27年3月23日制定)] [国立大学法人神戸大学非常勤職員就業規則(平成16年4月1日制定)] [国立大学法人神戸大学外国人研究員取扱規則(平成16年4月1日制定)]
3 この規則において「構成員」とは,役員,就業規則等の適用を受ける者及び学生並びに本学の施設や設備を利用して研究に携わる者をいう。
4 この規則において「部局」とは,各機構,各学部,各研究科,高等学術研究院,経済経営研究所,附属図書館,医学部附属病院,附属学校部,附属中等教育学校,明石地区附属学校,附属特別支援学校,各学内共同教育研究推進組織,農学研究科附属食資源教育研究センター,各学内共同管理・支援組織,産官学連携本部,地域連携推進本部,DX・情報統括本部,カーボンニュートラル推進本部,ウェルビーイング推進本部及び事務局(戦略企画室,国立大学法人神戸大学学則(平成16年4月1日制定)第18条第1項の規定により設置される室,監査室及び内部統制室を含む。)をいう。
(構成員の責務)
第3条 構成員は,不正行為を行ってはならず,また,他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2 構成員は,研究者倫理及び関係法令等に関する研修又は授業科目等(以下「研修等」という。)を受講しなければならない。
3 構成員は,研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに,第三者による検証可能性を担保するため,実験・観察記録ノート,実験データその他の研究資料等を一定期間適切に保存・管理し,開示の必要性及び相当性が認められる場合には,これを開示しなければならない。
4 構成員は,発表する研究データの信頼性を確保し,また,他の研究者の研究成果の引用にあたっては,公正かつ適切な引用を行わなければならない。
第2章 不正行為防止のための体制
(最高管理責任者)
第4条 学長は,本学における研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し,最終責任を負う者として,公正な研究活動を推進するための適切な措置を講じるものとする。
(研究倫理等統括管理責任者)
第5条 本学に,研究倫理等統括管理責任者(以下「統括管理責任者」という。)を置き,学長が指名する理事をもって充てる。
2 統括管理責任者は,学長を補佐し,本学における研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関する業務を統括する責任と権限を有し,本学の公正な研究活動を推進するための適切な措置を講じるものとする。
(研究倫理教育責任者)
第6条 本学に,研究倫理教育責任者を置き,部局の長をもって充てる。
2 研究倫理教育責任者は,部局における研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関する業務を掌理する責任と権限を有し,部局における公正な研究活動を推進するための適切な措置を講じるとともに,研究倫理の向上及び不正行為の防止等のために,部局の構成員に対して研究倫理に関する教育を定期的に行うものとする。
(学術研究不正行為防止委員会)
第7条 本学に研究倫理の向上及び不正行為の防止のため,神戸大学学術研究不正行為防止委員会(以下「防止委員会」という。)を置く。
(所掌事項)
第8条 防止委員会は,次に掲げる事項を行う。
(1) 構成員に対する学術研究倫理の保持及び啓発に係る研修等の企画及び実施に関すること。
(2) 不正行為の予備調査及び調査に関すること。
(3) 他機関における不正行為の防止に関する情報の収集及び分析に関すること。
(4) その他不正行為の防止に関すること。
(組織)
第9条 防止委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 統括管理責任者
(2) 評議員のうち学長が指名する者2人
(3) 次に掲げる研究科等の教員のうち,学長が指名する者各1人
イ 人文学研究科,国際文化学研究科又は人間発達環境学研究科
ロ 法学研究科,経済学研究科,経営学研究科,国際協力研究科又は経済経営研究所
ハ 理学研究科,工学研究科,システム情報学研究科,農学研究科又は海事科学研究科
ニ 医学研究科,保健学研究科又は医学部附属病院
(4) 事務局長
(5) 学術研究行動規範について専門的知識を有する学外者1人
(6) 法律の専門的知識を有する学内者又は学外者若干人
(7) その他学長が必要と認めた者若干人
2 委員は,学長が任命する。
3 第1項第3号,第5号及び第6号に規定する委員の任期は2年とし,委員に欠員が生じた場合の後任の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
4 防止委員会に委員長を置き,統括管理責任者をもって充てる。
5 学長は,防止委員会が特定の調査申立てについて前条第2号に規定する事項の審議を行うに当たり,当該案件の特殊性に応じた専門的知識が必要であると認めるときは,専門的知識を有する学内者又は学外者を,任期を定めて第1項第7号に規定する委員として任命することができる。
6 防止委員会委員長は,特に必要と認めたときは,第1項第2号,第3号及び第6号に定める委員に代えて,他の教員を臨時委員に指名することができる。
(議事)
第10条 防止委員会は,委員の過半数が出席しなければ議事を開き,議決することができない。
2 議事は,出席した委員の3分の2以上の賛成をもって決する。
第3章 調査申立て等の受付
(調査申立窓口)
第11条 部局に,不正行為についての調査申立てや相談等に迅速に対応するための窓口(以下「調査申立窓口」という。)を設置する。
2 部局の調査申立窓口の責任者(以下「窓口責任者」という。)は,部局の長(事務局にあっては,学長が指名する者)をもって充てる。
3 学長は,窓口責任者の氏名及び連絡先については,明示するものとする。
(調査申立て)
第12条 不正行為の疑いがあると思料する者は,何人も,書面,ファクシミリ,電子メール,電話又は面談により,調査申立窓口又は防止委員会に対し調査申立てをすることができる。
2 調査申立ては,原則として,顕名により,不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称,不正行為の態様その他事案の内容が明示され,かつ,不正行為とする合理的理由が示されていなければならない。
3 調査申立窓口及び防止委員会は,匿名による調査申立てについて,必要と認める場合には,統括管理責任者と協議の上,これを受け付けることができる。
4 調査申立窓口及び防止委員会は,調査申立てを受け付けたときは,速やかに学長及び統括管理責任者に報告するものとする。学長は,当該調査申立てに関係する部局の長に,その内容を通知するものとする。
5 調査申立窓口及び防止委員会は,調査申立てが郵便による場合など,当該調査申立てが受け付けられたかどうかについて調査申立人が知り得ない場合には,調査申立てが匿名による場合を除き,調査申立人に受け付けた旨を通知するものとする。
6 新聞等の報道機関,研究者コミュニティ又はインターネット等により,不正行為の疑いが指摘された場合(不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称,不正行為の態様その他事案の内容が明示され,かつ,不正とする合理的理由が示されている場合に限る。)は,統括管理責任者は,これを匿名の場合に準じて取り扱うことができる。
(調査申立ての相談)
第13条 不正行為の疑いがあると思料する者で,調査申立ての是非や手続きについて疑問がある者(以下「相談者」という。)は,調査申立窓口又は防止委員会に対して相談することができる。
2 調査申立ての意思を明示しない相談があったときは,調査申立て窓口又は防止委員会は,その内容を確認して相当の理由があると認めたときは,相談者に対して調査申立ての意思の有無を書面で確認するものとする。
3 相談の内容が,不正行為が行われようとしている,又は不正行為が求められている等であるときは,調査申立窓口又は防止委員会は,学長及び統括管理責任者に報告するものとする。
4 前項の報告があったときは,学長又は統括管理責任者は,その内容を確認し,相当の理由があると認めたときは,その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。
(調査申立窓口等の義務)
第14条 調査申立ての受付に当たっては,統括管理責任者,調査申立窓口及び防止委員会の委員は,調査申立人の秘密の遵守及び調査の対象となる構成員(以下「調査対象者」という。)の保護を徹底しなければならない。
2 調査申立窓口及び防止委員会の委員は,調査申立てを受け付けるに際し,面談による場合は個室にて実施し,書面,ファクシミリ,電子メール,電話等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないような措置を講ずるなど,適切な方法で実施しなければならない。
3 前2項の規定は,前条の規定による相談について準用する。
第4章 関係者の取扱い
(調査申立人等の保護)
第15条 部局の長は,第12条の規定による調査申立て又は第13条の規定による相談(以下「調査申立て等」という。)をしたことを理由とする当該調査申立人又は当該相談者(以下「調査申立人等」という。)の職場環境の悪化や差別待遇が起きないようにするために,適切な措置を講じなければならない。
2 構成員は,調査申立て等をしたことを理由として,当該調査申立人等に対して,不利益な取扱いをしてはならない。
3 学長は,調査申立人等に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は,就業規則等,神戸大学教学規則(平成16年4月1日制定。以下「教学規則」という。)又は神戸大学名誉教授称号授与規程(平成16年4月1日制定。以下「名誉教授称号授与規程」という。)の規定に従って,その者に対して処分を課すことができる。
4 学長は,悪意に基づく調査申立て等であることが判明しない限り,単に調査申立て等をしたことを理由に当該調査申立人等に対して不利益な措置等を行ってはならない。
(調査対象者の保護)
第16条 構成員は,相当な理由なしに,単に調査申立て等がなされたことのみをもって,当該調査対象者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 学長は,相当な理由なしに,調査対象者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は,就業規則等,教学規則又は名誉教授称号授与規程の規定に従って,その者に対して処分を課すことができる。
3 学長は,相応な理由なしに,単に調査申立て等がなされたことのみをもって,当該調査対象者に対して不利益な措置等を行ってはならない。
(悪意に基づく調査申立て等)
第17条 何人も,悪意に基づく調査申立て等を行ってはならない。この規則において,悪意に基づく調査申立て等とは,調査対象者による不正行為に該当する事実があると思料するに足りる合理的な理由がないことを知りながら行う調査申立て等をいう。
第5章 事案の調査
(予備調査)
第18条 調査申立窓口に対して第12条第1項の規定による調査申立てがあったときは,調査申立窓口は,予備調査を実施する。また,調査申立てが防止委員会にあったときは,調査申立窓口に予備調査を実施させる。調査申立窓口は,予備調査において,調査申立人に対し,不正行為の事実があると思料する根拠の説明又は当該規定に違反する事実の存在を示す証拠の提出を求めることができる。
[第12条第1項]
2 調査申立窓口は,前項の規定による説明又は証拠から,構成員につき不正行為の疑いがあると認めるときは,直ちに,防止委員会にその旨を報告しなければならない。不正行為の疑いがないと認めるときも,同様とする。
3 防止委員会は,前項の報告案件について,防止委員会の調査の適否を判断し,調査申立てを受け付けた日から起算して原則として30日以内にその結果を学長に報告する。
4 学長は,前項の報告に基づき,調査を行うか否かを決定する。
5 学長は,前項の規定に基づき調査を行うことを決定した場合は,防止委員会に当該事案に関する調査を行わせるとともに,関係省庁並びに調査対象者が学外の機関から研究費の助成を受け,又は学外の機関に対し研究費の支給を申請しているときは当該配分機関(以下「関係配分機関」という。)に,調査を行う旨を報告するものとする。
6 学長は,第4項の規定に基づき,調査を行わないことを決定した場合は,その理由を付記し調査申立人に通知する。この場合において,予備調査を実施した調査申立窓口は,関係配分機関又は調査申立人の求めがあった場合に開示することができるよう,予備調査に係る資料等を保存するものとする。
7 予備調査の公正を確保するため,調査対象者,調査申立人又はこれらの者と直接の利害関係を有する者は,予備調査に加わることができない。
(調査委員会の設置)
第19条 防止委員会は,前条第5項の規定による調査の指示があった場合は,調査委員会を設置する。
2 調査委員会の委員は,次に掲げる者とする。
(1) 防止委員会委員長又は防止委員会委員長が指名した防止委員会の委員1人
(2) 防止委員会委員長が防止委員会の議を経て指名した有識者1人
(3) 法律の専門的知識を有する学内者又は学外者1人
(4) その他防止委員会委員長が必要と認めた者若干人
3 調査委員会に委員長を置き,前項第1号に掲げる者をもって充てる。
4 調査委員会委員の過半数は,本学に属さない外部有識者でなければならない。
5 調査委員会委員のうち,調査申立人又は調査対象者と直接の利害関係を有する者は,委員となることができない。
6 第10条の規定は,調査委員会に準用する。
[第10条]
(調査の通知)
第20条 防止委員会は,調査委員会を設置したときは,調査委員会委員の氏名及び配置先又は所属を調査申立人及び調査対象者に通知する。
2 前項の通知を受けた調査申立人及び調査対象者は,通知された日から起算して7日以内に,書面により,防止委員会に対して調査委員会委員について忌避することを申立てることができる。
3 防止委員会は,前項の忌避申立てがあった場合は,当該申立ての内容を審査し,その内容が妥当であると判断したときは,当該申立てに係る調査委員会委員を交代させるとともに,その旨を調査申立人及び調査対象者に通知する。
(証拠の保全)
第21条 調査委員会は,他の方法により事実の適正な認定に必要な資料を入手することが困難であると認めるとき又は事実の適正な認定に必要な資料が隠滅されるおそれがあると認めるときは,証拠の保全のため,次の措置を命ずることができる。
(1) 調査対象者に対し,調査対象場所を指定し,当該場所に立ち入ることを禁ずること。
(2) 調査対象者が,利害関係人として調査委員会の指定した者と連絡をとることを禁ずること。
(3) 指定された調査対象場所から,調査対象者及び調査委員会の指定する者が,調査委員会の指定する物品を持ち出すことを禁ずること。
(4) 調査対象場所を,期間を定めて閉鎖すること。
2 調査委員会は,前項各号に掲げる命令を発するに当たり,調査対象者に弁明の機会を与えることを要しない。ただし,前項第4号の命令を発する場合にあっては,当該調査対象場所を管理する部局の長の同意を得るものとし,当該部局の長は,当該部局の業務の遂行に著しい支障を生ずる場合を除き,同意を拒むことができないものとする。
(調査の実施)
第22条 調査委員会は,調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に,調査を開始するものとする。
2 調査委員会は,調査に当たり,調査対象者に弁明の機会を与えなければならない。弁明は,調査対象者の求めに応じて書面又は口頭により行うものとする。
3 調査対象者の弁明を聴取するに当たり,調査委員会は,調査申立てにおいて指摘された当該研究に係る論文,実験・観察記録ノート,実験データその他研究資料(以下「証拠資料」という。)の精査を行うものとする。
4 調査委員会は,調査対象者に対し,再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また,調査対象者から再実験等の申し出があり,調査委員会がその必要を認める場合は,それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障するものとする。
(不正行為の疑惑への説明責任)
第23条 調査対象者は,調査委員会に対する弁明において,自己の行為が不正行為に該当しないと主張するときは,自己の責任において,当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続きにのっとって行われたこと,並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
(構成員の調査への協力義務等)
第24条 調査対象者を除く構成員は,調査において,調査委員会から,証言又は証拠の提出等の協力を要請されたときは,当該協力の結果自らが民事上及び刑事上の責任を追及され,又は就業規則等若しくは教学規則の規定による懲戒処分等を受けるおそれがある場合を除き,これに協力しなければならない。
2 調査委員会が,その指定する調査対象場所に立ち入り,調査対象場所から適正な事実の認定に必要な機器,備品等を持ち出すとき又は調査対象者を除く構成員に証言又は証拠の提出等の協力を要請するときは,調査対象場所を管理し,又は協力を要請する構成員の配置されている又は所属する部局の長の指名する者を立ち会わせなければならない。
3 調査対象者を除く構成員は,防止委員会及び調査委員会の命令に違反し,又は防止委員会及び調査委員会による調査を妨害してはならない。
第6章 不正行為等の裁定
(裁定に要する期間)
第25条 調査委員会は,調査を開始した日から起算して原則として150日以内に調査した内容をまとめなければならない。
2 前項に掲げる期間につき,150日以内に裁定を行うことができない合理的な理由がある場合は,その理由及び裁定の予定日を付して学長に申し出て,その承認を得るものとする。
(中間報告)
第26条 学長は,調査の終了前であっても,関係省庁及び関係配分機関の求めに応じて,調査の中間報告を提出するものとする。
(不正行為の認定)
第27条 調査委員会は,調査申立人から説明を受けるとともに,調査によって得られた,物的・科学的根拠,証言,調査対象者の自認等の諸証拠を総合的に判断して,不正行為か否かの認定について,書面により裁定する。
2 調査委員会は,調査対象者による自認を唯一の根拠として,不正行為であると認定することはできない。
3 調査委員会は,調査対象者の説明及びその他の証拠によって,不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは,不正行為と認定することができる。証拠資料の不存在等,本来あるべき基本的な要素の不足により,調査対象者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも,同様とする。
(裁定)
第28条 調査委員会は,調査対象者による不正行為があったと認定する場合には,その内容及び悪質性,不正行為に関与した者とその関与の度合い,不正行為と認定された研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割,その他必要な事項の認定について,書面で裁定しなければならない。
2 調査委員会は,調査対象者による不正行為がなかったと認定する場合には,その旨について,書面で裁定しなければならない。この場合において,調査を通じて,調査申立てが悪意に基づくものであると認められるときは,併せて,その旨について,書面で裁定しなければならない。
3 調査委員会は,前項後段の裁定を行うに当たっては,調査申立人に弁明の機会を与えなければならない。
4 調査委員会は,第1項又は第2項に定める裁定を終えたときは,直ちに,防止委員会に報告しなければならない。
(学長等への報告)
第29条 防止委員会は,前条第4項の規定による同条第1項の裁定の報告があったときは,次に掲げる措置について学長に報告しなければならない。
(1) 調査対象者に対して不正行為に該当したことを理由とする就業規則等又は教学規則の規定による懲戒処分,名誉教授称号授与規程の規定による称号の取消し,神戸大学学位規程(平成16年4月1日制定)の規定による学位の取消し等の必要性の要否
(2) 調査対象者に対して不正行為に該当する学術研究活動の停止を命ずる内容の業務命令を発することの要否
(3) 調査対象者に関して不正行為に該当する事実があったことを関係省庁に報告することの要否
(4) 調査対象者が不正行為により作成し,又は報告した研究成果に関して,関係配分機関に対し不正行為があった旨を通知することの要否
(5) 調査対象者が不正行為により作成した研究成果が,国内若しくは国外の媒体に公表されているとき又は公表されることが予定されているときは,公表に関連する機関に対し不正行為があった旨を通知することの要否
(6) 調査対象者が不正行為により作成し,又は報告した研究成果について,本学が職務上の発明として特許その他の知的財産権の付与の手続きを行っているときは,その取下げの要否
(7) 調査対象者が不正行為により作成し,又は報告した研究成果に関して,調査対象者が学内の研究費を受けているときは,支給の差止め及び返還を命ずることの要否
(8) 調査対象者が不正行為により作成し,又は報告した研究成果が,学内において,調査対象者が研究費の受給その他調査対象者への学術研究上の便宜供与を申請するための根拠とされているときは,申請を審査する部署に対し不正行為があった旨を通知することの要否
(9) 調査対象者が不正行為により作成し,又は報告した研究成果が,調査対象者の配置部局又は所属部局又は他部局における昇任又は採用に関する業績審査の対象とされているときは,当該部局の長に対し不正行為があった旨を通知することの要否
2 防止委員会は,前条第4項の規定による同条第2項の裁定の報告があったときは,次に掲げる措置について学長に報告しなければならない。
(1) 調査対象者による学術研究活動の円滑な再開及び調査対象者の名誉の回復のために必要な措置
(2) 調査対象者に関して不正行為に該当する事実がなかったことを関係省庁及び関係配分機関に報告することの要否
(3) 当該裁定において,構成員である調査申立人による調査申立てが悪意に基づくものと認められているときは,関係省庁及び関係配分機関に対しその旨を通知すること並びに当該調査申立人の氏名の公表,これに対する就業規則等又は教学規則の規定による懲戒処分及び刑事告発の検討の要否
(4) 当該裁定において,構成員でない調査申立人による調査申立てが悪意に基づくものと認められているときは,その所属する機関,関係省庁及び関係配分機関に対しその旨を通知すること並びに当該調査申立人に対する刑事告発の検討の要否
(学長による処置)
第30条 前条の報告において,特定の処置を採ることが必要とされているときは,学長は,速やかにその処置を行うものとする。
2 学長は,前項の処置を行ったときは,調査申立人及び調査対象者に対して,第28条の規定による裁定書の写しを添えて,当該処置の内容を通知しなければならない。同条第2項の裁定があったときは,調査対象者に対して,裁定の公表を求めることができることを,併せて通知しなければならない。
[第28条]
3 学長は,前項の規定により通知を行う場合は,調査申立人及び調査対象者がそれぞれ配置されている又は所属する部局の長についても,同様に通知を行うものとする。
(異議申立て)
第31条 調査申立人及び調査対象者は,第28条の規定による裁定又は前条の処置に対し不服がある場合は,通知を受けた日の翌日から起算して14日以内に学長に対して書面により異議申立てを行うことができる。ただし,異議申立ては,1回を限度とする。
[第28条]
2 学長は,異議申立てに関する書面を受理したときは,防止委員会に再審議を指示するものとする。
3 前項の指示を受けた防止委員会は,調査委員会に再審議を行わせるものとする。ただし,異議申立ての趣旨が調査委員会の構成等,その公正性に係る場合は,学長の判断により,調査委員会に代えて,他の者に再審議させることができる。学長は,調査委員会の交代を行った場合は,その旨を調査申立人及び調査対象者に通知するものとする。
4 学長は,調査対象者から不正行為の裁定に係る異議申立てがあったときは,当該調査申立人に通知するとともに,関係省庁及び関係配分機関に対して異議申立てがあったことを報告する。
5 学長は,悪意に基づく調査申立てと裁定された調査申立人から異議申立て(以下「悪意に基づく異議申立て」という。)があったときは,調査対象者に対して異議申立てがあったことを通知するとともに,関係省庁及び関係配分機関に対して異議申立てがあったことを報告する。
(再審議)
第32条 調査委員会又は前条第3項の規定により調査委員会に代わって再審議する者(以下「再調査委員会」という。)は,前条第1項の異議申立て(悪意に基づく異議申立てを除く。)について,再審議の結果,当該事案の再調査を行うまでもなく,異議申立てを却下すべきものと決定した場合は,防止委員会に報告する。
2 再調査委員会は,前条第1項の異議申立てについて,再審議の結果,当該事案の再調査を行う旨を決定した場合には,防止委員会に報告する。
3 前2項の報告を受けた防止委員会は,速やかに審議の結果を学長に報告するものとする。
4 学長は,前項の報告を受けたときは,異議申立ての却下又は再調査の決定を行い,調査申立人及び調査対象者に当該決定又は再調査について通知するとともに,関係省庁及び配分機関に報告する。
5 再調査委員会は,再調査を開始した日から起算して原則として50日以内(悪意に基づく異議申立てである場合は,再調査を開始した日から起算して原則として30日以内)に調査の結果を覆すか否かを決定し,防止委員会に報告する。
6 前項の報告を受けた防止委員会は,速やかに審議の結果を学長に報告するものとする。
7 学長は,前項の報告に基づき,速やかに,再調査に対する処置を決定し,再調査の結果を調査申立人,調査対象者,調査申立人及び調査対象者がそれぞれ配置されている又は所属する部局の長,調査対象者以外で不正行為に関与したと裁定された者に通知するとともに,関係省庁及び関係配分機関に報告するものとする。調査対象者が本学以外の機関に所属している場合は,その所属機関にも通知する。
(守秘義務)
第33条 この規則に定める業務に携わるすべての構成員は,業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。構成員でなくなった後も,同様とする。
2 学長は,調査申立人等,調査対象者,調査申立て内容,調査内容及び調査経過について,次条の規定による公開に至るまで,調査申立人等,調査対象者の意に反して外部に漏えいしないよう,これらの秘密保持を徹底しなければならない。
3 学長は,調査申立てに係る事案が外部に漏えいした場合は,調査申立人及び調査対象者の了解を得て,調査中にかかわらず,当該事案について公に説明することができる。ただし,調査申立人又は調査対象者の責に帰すべき事由により漏えいしたときは,当該者の了解は不要とする。
4 学長,防止委員会委員長又はその他関係者は,調査申立人等,調査対象者,調査協力者又は関係者に通知するときは,調査申立人等,調査対象者,調査協力者又は関係者等の人権,名誉及びプライバシー等を侵害することがないよう配慮しなければならない。
(裁定の公表)
第34条 学長は,不正行為があったと裁定した場合には,速やかに当該裁定の概要を,個人情報又は知的財産の保護等公表しないことに合理的な理由がある場合を除き,公表する。
2 前項における公表内容は,不正行為に関与した者の氏名及び配置先又は所属,不正行為の内容,本学が公表時までに行った措置の内容,調査委員会委員の氏名及び配置先又は所属並びに調査の方法及び手順を含むものとする。
3 前項の規定にかかわらず,不正行為があったと裁定された論文等が,調査申立てがなされる前に取り下げられていたときは,当該不正行為に関与した者の氏名・配置先又は所属を公表しないことができる。
4 不正行為がなかったと裁定された場合には,原則として,裁定は公表しない。ただし,調査対象者が公表を求めた場合,当該事案が外部に漏えいしていた場合又は論文等の故意によるものでない誤りがあった場合は,裁定を公表するものとする。
5 前項ただし書きにおける公表内容は,不正行為がなかったこと,論文等に故意によるものではない誤りがあったこと,調査対象者の氏名及び配置先又は所属,調査委員会委員の氏名及び配置先又は所属並びに調査の方法及び手順を含むものとする。
6 学長は,悪意に基づく調査申立てが行われたと裁定した場合には,調査申立人の氏名及び配置先又は所属,悪意に基づく調査申立てと裁定した理由,調査委員会委員の氏名及び配置先又は所属並びに調査の方法及び手順を公表する。
第7章 啓発等
(啓発及び再発防止のための活動)
第35条 統括管理責任者は,研究倫理教育責任者と協力して,構成員に対し,この規則の概要について周知させるため,定期的な啓発活動を実施しなければならない。
2 不正行為があったと裁定されたときは,防止委員会は,再発防止のための体制の整備を検討し,個人情報及び知的財産の保護に支障を生じない範囲において,部局と協力して,構成員に対し,違反行為の概要を周知させ,同種の事件の再発を防止するよう啓発しなければならない。
(関係諸機関との連携等)
第36条 防止委員会は,必要に応じて,同様の任務に従事する学外の機関との間で,学術研究行動規範の維持向上のため必要な連絡及び協議を行うことができる。
第8章 雑則
(退職者等への準用)
第37条 過去,本学に構成員として所属していた者について,第12条第1項に規定する調査申立てがあった場合は,その性質に反しない限りにおいて,この規則を準用する。この場合において,第2条中「構成員」とあるのは,「過去,構成員として所属していた者」と,第24条第2項,第30条第3項及び第32条第7項中「配置されている又は所属する部局の長」とあるのは,「本学において最後に配置されていた又は所属していた部局の長」と読み替えるものとする。
2 防止委員会は,過去,本学に構成員として所属していた者につき,その在職中に不正行為に該当した事実の有無について学外の機関から調査を求められた場合又は当該機関が実施する調査への協力を求められた場合において,必要と認めるときは,調査し,又は当該機関の調査に協力することができる。この場合において,第19条から第25条までの規定は,その性質に反しない限りにおいて,本項の定める調査又は調査への協力について準用する。
3 前項の規定に定める調査への協力を実施したときは,その旨を学長に報告するものとする。
(事務)
第38条 防止委員会及び調査委員会の事務は,研究推進部研究推進課において行う。
(雑則)
第39条 この規則に定めるもののほか,不正行為の防止に関する事項並びに防止委員会及び調査委員会の運営に関し必要な事項は,防止委員会において別に定める。
附 則
この規則は,平成18年10月26日から施行する。
附 則(平成19年3月29日)
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1 この規則は,平成19年4月1日から施行する。
2 この規則施行の際現に在任する改正前の神戸大学における学術研究に係る不正行為の防止等に関する規則第6条第1項第3号イ及びハの規定による委員(以下「旧委員」という。)は,それぞれ改正後の神戸大学における学術研究に係る不正行為の防止等に関する規則第6条第1項第3号イ及びハの規定による委員とみなし,その任期は,同条第3項の規定にかかわらず,旧委員としての残任期間と同一の期間とする。
附 則(平成19年5月31日)
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この規則は,平成19年6月1日から施行する。
附 則(平成20年3月28日)
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1 この規則は,平成20年4月1日から施行する。
2 この規則施行の際現に在任する改正前の第6条第1項第3号ニの規定による委員(以下「旧委員」という。)は,改正後の第6条第1項第3号ニの規定による委員とみなし,その任期は,同条第3項の規定にかかわらず,旧委員としての残任期間と同一の期間とする。
附 則(平成21年3月31日)
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この規則は,平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成22年4月1日)
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この規則は,平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成22年4月20日)
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この規則は,平成22年4月20日から施行し,改正後の神戸大学における学術研究に係る不正行為の防止等に関する規則の規定は,平成22年4月1日から適用する。
附 則(平成22年6月22日)
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この規則は,平成22年7月1日から施行する。
附 則(平成24年3月21日)
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この規則は,平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成25年3月27日)
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この規則は,平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成25年9月27日)
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この規則は,平成25年10月1日から施行する。
附 則(平成26年3月27日)
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この規則は,平成26年4月1日から施行する。
附 則(平成27年3月23日)
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この規則は,平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成27年9月30日)
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この規則は,平成27年10月1日から施行する。
附 則(平成27年11月30日)
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この規則は,平成27年12月1日から施行する。
附 則(平成28年3月22日)
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この規則は,平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成28年9月30日)
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この規則は,平成28年10月1日から施行する。
附 則(平成29年3月31日)
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この規則は,平成29年4月1日から施行する。
附 則(平成31年2月28日)
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この規則は,平成31年3月1日から施行する。
附 則(令和元年9月30日)
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この規則は,令和元年10月1日から施行する。
附 則(令和2年3月31日)
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この規則は,令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和3年3月30日)
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1 この規則は,令和3年4月1日から施行する。
2 この規則施行の際現に在任する第9条第1項第3号,第5号及び第6号に規定する委員の任期は,同条第3項の規定にかかわらず,令和4年3月31日までとする。
附 則(令和3年6月29日)
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この規則は,令和3年7月1日から施行する。
附 則(令和3年9月30日)
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この規則は,令和3年10月1日から施行する。
附 則(令和4年3月31日)
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この規則は,令和4年4月1日から施行する。
附 則(令和4年9月30日)
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この規則は,令和4年10月1日から施行する。
附 則(令和4年10月25日)
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この規則は,令和4年11月1日から施行する。
附 則(令和6年3月27日)
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この規則は,令和6年4月1日から施行する。