○神戸大学動物実験実施規則
(平成19年3月20日制定)
改正
平成20年3月28日
平成21年2月24日
平成21年3月31日
平成23年3月22日
平成23年3月31日
平成28年3月22日
平成29年3月31日
平成30年3月30日
平成31年3月29日
令和6年3月25日
大学等における動物実験を伴う生命科学研究は,人の健康・福祉・先端医療の開発展開のみならず,動物の健康増進等における研究分野の進展においても必要な手段である。
 本規則は,「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)」(以下「法」という。),「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号)」(以下「飼養保管基準」という。)及び文部科学省が策定した「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)」(以下「基本指針」という。)を踏まえ,日本学術会議が作成した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(平成18年6月)」(以下「ガイドライン」という。)を参考に,科学的観点,動物愛護の観点及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員・学生等の安全確保の観点から,実験動物の飼養及び保管に係る管理運営体制の整備,並びに動物実験等の実施方法を定めるものである。
目次

第1章 総則(第1条-第2条の2)
第2章 適用範囲(第3条)
第3章 学長の責務(第4条)
第4章 動物実験委員会(第5条-第12条)
第5章 動物実験等の実施(第13条-第14条)
第6章 実験動物の飼養及び保管(第15条-第22条)
第7章 施設等(第23条-第28条)
第8章 安全管理及び健康管理(第29条-第32条)
第9章 教育訓練(第33条)
第10章 自己点検・評価・検証(第34条)
第11章 情報公開(第35条)
第12章 補則(第36条-第40条)
附則

第1章 総則
(趣旨及び基本原則)
第1条 この規則は,神戸大学(以下「本学」という。)における動物実験等並びに実験動物の飼養及び保管等を適正に行うため,学長の責務,動物実験委員会の設置,動物実験計画の承認手続,実験動物の飼養及び保管等必要な事項を定めるものとする。
2 動物実験等については,法,飼養保管基準,基本指針,ガイドライン,「動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号)」,「動物の愛護及び管理に関する条例(平成12年兵庫県条例第53号)」その他の法令等(以下これらを「法令等」という。)に定めるもののほか,この規則の定めるところによるものとする。
3 動物実験等を行う者は,法令等に則し,動物実験等の原則である代替法の利用(科学上の利用の目的を達することができる範囲において,できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。),使用数の削減(科学上の利用の目的を達することができる範囲において,できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)及び苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において,できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)のいわゆる3R(Replacement,Reduction,Refinement)並びに「動物実験における倫理の原則(平成12年4月1日神戸大学動物実験委員会制定)」に基づき,適正に実施しなければならない。
4 ‪実験動物の飼養及び保管に当たっては,科学上の利用の目的を達することができる範囲において,動物福祉の基本理念である「5つの自由(飢え及び渇きからの解放,肉体的不快感及び苦痛からの解放,傷害及び疾病からの解放,恐怖及び精神的苦痛からの解放,本来の行動様式に従う自由)」に配慮して実施しなければならない。‬‬‬‬‬‬‬‬
(定義)
第2条 この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 動物実験等 第5号に規定する実験動物を教育,試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2) 飼養保管施設 実験動物の恒常的な飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(3) 実験室 実験動物への実験操作を行う動物実験室をいう。
(4) 施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。
(5) 実験動物 動物実験等の利用に供するため,施設等で飼養又は保管している哺乳類,鳥類又は爬虫類に属する動物(施設等に導入するために輸送中のものを含む。)をいう。
(6) 動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。
(7) 動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。
(8) 動物実験責任者 動物実験実施者のうち,動物実験等の実施に関する業務を統括する者をいう。
(9) 管理者 学長の命を受け,実験動物及び施設等を管理する部局の長をいう。
(10) 実験動物管理者 実験動物に関する知識及び経験を有し,施設等において管理者を補佐し,実験動物の管理を担当する者をいう。
(11) 飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(12) 管理者等 学長,管理者,実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者をいう。
(動物実験責任者)
第2条の2 動物実験責任者となることができる者は,本学の専任の教授,准教授,講師,助教又は助手とする。ただし,学長が特に必要と認めた場合は,この限りでない。
第2章 適用範囲
(適用範囲)
第3条 この規則は,本学において実施される哺乳類,鳥類,爬虫類の生体を用いる全ての動物実験等に適用する。
2 動物実験責任者は,動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合,委託等先においても,法令等に基づき,適正に動物実験等が実施されることを確認するものとする。
3 本学以外の機関において動物実験責任者として動物実験等を実施する場合,当該実験等に係る動物実験計画が法令等に基づいた適正な内容であると当該機関において確認されたことを学長に報告するものとする。
第3章 学長の責務
(責務)
第4条 学長は,本学における動物実験等の適正な実施並びに実験動物の飼養及び保管を最終的な責任者として統括する。
2 学長は,次に掲げる事項について責務を負う。
(1) 動物実験計画の承認,実施状況及び結果の把握並びにその結果に基づく改善措置
(2) 飼養保管施設及び実験室の整備並びに承認
(3) 動物実験等に係る安全管理及び教育訓練
(4) 動物実験等に係る自己点検・評価及び外部の専門家による検証
(5) 動物実験等に係る情報公開
(6) その他動物実験等の適正な実施に必要な措置
3 学長は,前項の責務を遂行するために報告又は助言を行う組織として,次章に定める神戸大学動物実験委員会(以下「委員会」という。)を置く。
第4章 動物実験委員会
(任務)
第5条 委員会は,学長の諮問を受け,次の事項を審議又は調査し,学長に報告又は助言する。
(1) 動物実験計画の法令等及び本学が定める規則等への適合性に関すること。
(2) 動物実験計画の実施状況及び結果に関すること。
(3) 施設等及び実験動物の飼養保管状況に関すること。
(4) 動物実験等及び実験動物の適正な取扱い並びに法令等に関する教育訓練の内容又は体制に関すること。
(5) 自己点検・評価及び外部の専門家による検証並びに情報公開に関すること。
(6) その他動物実験等の適正な実施に係る重要事項に関すること。
2 委員会は,必要に応じて安全管理に注意を要する動物実験に関連する委員会等と相互に必要な情報の提供等を行うよう努めるものとする。
(組織)
第6条 委員会は,次に掲げる委員をもって組織する。
(1) 動物実験等若しくは実験動物に関して優れた識見を有する教授又は准教授6人
(2) 医学研究科附属動物実験施設長
(3) 獣医師1人
(4) 学識経験者若干人
(5) その他委員会が必要と認めた者若干人
2 前項第1号及び第3号から第5号までの委員の選出に関し必要な事項は,別に定める。
(任命等)
第7条 委員は,学長が任命し,又は委嘱する。
2 前条第1項第1号及び第3号から第5号までの委員の任期は,2年とし,再任することができる。ただし,欠員が生じた後任者の任期は,前任者の残任期間とする。
(委員長等)
第8条 委員会に委員長及び副委員長1人を置き,委員の互選により選出する。
2 委員長は,委員会を招集し,その議長となる。
3 副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは,その職務を代行する。
(議事)
第9条 委員会は,委員の過半数が出席し,かつ,第6条第1項第4号の委員のうち,少なくとも1人以上の出席がなければ議事を開き,議決することができない。
2 議事は,出席した委員の3分の2以上でこれを決する。
(委員以外の者の出席)
第10条 委員会が必要と認めたときは,委員会に委員以外の者の出席を求めてその意見を聴くことができる。
(六甲台地区動物実験委員会及び楠地区及び名谷地区動物実験委員会)
第11条 委員会に,神戸大学六甲台地区動物実験委員会及び神戸大学楠地区及び名谷地区動物実験委員会(以下「実験委員会」という。)を置き,第5条第1号から第4号までに規定する事項について,各実験委員会に審議等を行わせることができる。
2 前項の各実験委員会の議決は,委員会の議決とすることができる。
3 第6条第1項第1号及び第2号の委員は,それぞれ関連する実験委員会に属するものとする。
4 各実験委員会の組織及び運営に関し必要な事項は,別に定めるものとする。
(事務)
第12条 委員会の事務は,研究推進部研究推進課において行う。
第5章 動物実験等の実施
(動物実験計画の立案,審議及び手続)
第13条 動物実験責任者は,「動物実験における倫理の原則」,「動物の苦痛に関する審査基準(平成12年4月1日神戸大学動物実験委員会制定)」及び次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案し,所定の動物実験計画書を学長に提出するものとする。
(1) 研究の目的,意義及び必要性
(2) 代替法を考慮した実験動物の適切な利用方法
(3) 動物実験等の目的に適した実験動物種の選定,動物実験成績の精度と再現性を左右する最小限の実験動物数,遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮することなど実験動物の使用数削減方策
(4) 苦痛の軽減を図るなど動物実験等の適切な実施
(5) 苦痛度の高い動物実験等(致死的な毒性実験,感染実験,放射線照射実験等をいう。)を行う場合,動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための,実験を打ち切る適期をいう。以下同じ。)の設定の検討
2 学長は,動物実験責任者から動物実験計画書の提出を受けたときは,委員会の審査を経て承認又は非承認を決定し,その結果を当該動物実験責任者に通知するものとする。
3 動物実験責任者は,動物実験計画について学長の承認を得た後でなければ,動物実験等を行うことができない。
4 動物実験責任者は,前項の承認を受けた動物実験計画を変更しようとするときは,改めて動物実験計画書を学長に提出し,その承認を受けなければならない。ただし,軽微な変更の場合は,所定の届出を提出すれば足りるものとする。
(学外研究者との動物実験)
第13条の2 動物実験責任者は,本学において学外の研究者と共同で動物実験等を行う場合は,学外研究者との動物実験等に関する誓約書を管理者に提出した後でなければ,当該学外研究者を動物実験等に従事させることができない。
(実験操作)
第14条 動物実験実施者は,動物実験等の実施に当たって,法令等及び本学が定める規則等に則するとともに,次に掲げる事項を遵守するものとする。
(1) 第23条又は第25条において設置の承認を得た施設等において動物実験等を行うこと。
(2) 動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項を遵守すること。
 イ 適切な麻酔薬,鎮痛薬等の利用
 ロ 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
 ハ 適切な術後管理
 ニ 適切な安楽死の選択
(3) 安全管理に注意を払うべき実験(物理的,化学的に危険な材料,麻薬・向精神薬等,病原体,遺伝子組換え動物等を用いる実験をいう。)については,関係法令等及び本学における関連する規則等に従うとともに,安全のための適切な施設及び設備を確保すること。
(4) 実験の実施に先立ち,必要な実験手技等の習得に努めること。
(5) 侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては,経験等を有する者の指導の下で行うこと。
2 学長は,動物実験等の終了後,動物実験責任者から所定の様式により,使用動物数,成果等の動物実験計画の実施の結果について報告させ,必要な場合は委員会の助言を受けて適正な動物実験等の実施のための改善措置を講ずるものとする。
第6章 実験動物の飼養及び保管
(マニュアルの作成と周知)
第15条 管理者及び実験動物管理者は,飼養保管に係るマニュアルを定め,動物実験実施者及び飼養者に周知し,それを遵守させるものとする。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第16条 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,飼養保管基準を遵守し,実験動物の健康及び安全の保持に努めるものとする。
2 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,実験動物の健康管理を行うため,委員会が実施する実験動物の病原微生物検査に必要な検体を委員会の指示に従って提出するものとする。
3 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,実験動物が実験目的以外の傷害又は疾病にかかった場合,適切な治療等を行うものとする。
(実験動物の導入)
第17条 実験動物は,法令等に基づき適正に管理されている機関より導入するものとし,当該機関から,その特性,飼養保管の方法,感染性疾病等に関する情報の提供を受けなければならない。
2 実験動物管理者は,実験動物の導入に当たり,適切な検疫,隔離飼育等を行うものとする。
3 実験動物管理者は,実験動物の飼養環境への順化・順応を図るための必要な措置を講じるものとする。
(給餌・給水)
第18条 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,実験動物の種類,生理,生態,習性等に応じて,適切に給餌・給水を行うものとする。
2 実験動物管理者は,飼養保管施設の日常的な管理及び保守点検並びに定期的な巡回等により,飼養又は保管をする実験動物の数及び状態の確認を行うものとする。
(異種又は複数動物の飼育)
第19条 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養又は保管をする場合,その組合せを考慮した収容を行うものとする。
(記録の保存及び報告)
第20条 実験動物管理者,動物実験責任者又は飼養者は,実験動物の入手先,飼育履歴,病歴等に関する記録の整備及び保存をするものとする。
2 管理者は,年度ごとに飼養又は保管した実験動物の種類,数等について,学長に報告するものとする。
(譲渡の際の情報提供)
第21条 実験動物管理者,動物実験責任者又は飼養又は者は,実験動物を譲渡する場合は,譲渡先に対しその特性,飼養又は保管の方法,感染性疾病等に関する情報を提供するものとする。
(輸送)
第22条 実験動物管理者,動物実験責任者又は飼養者は,実験動物を輸送する場合は,飼養保管基準を遵守し,実験動物の健康及び安全の確保並びに人への危害防止に努めるものとする。
第7章 施設等
(飼養保管施設の設置)
第23条 飼養保管施設を設置又は変更する場合,管理者は,所定の飼養保管施設設置(変更)承認申請書により,学長の承認を得なければならない。
2 学長は,申請された飼養保管施設を委員会に調査させ,その助言により,承認の可否を決定し,その結果を当該管理者に通知するものとする。
3 管理者は,学長の承認を得た飼養保管施設でなければ,当該飼養保管施設での実験動物の飼養若しくは保管又は動物実験等を行わせることができない。
4 学長は,実験動物の飼養及び保管の状況について管理者及び実験動物管理者から報告させ,必要な場合は委員会の助言を受けて改善を指示するものとする。
(飼養保管施設の要件)
第24条 飼養保管施設は,以下の要件を満たさなければならない。
(1) 適切な温度,湿度,換気,明るさ等を保つことができる構造等であること。
(2) 実験動物の種類,生理,生態,習性等及び飼養又は保管する数等に応じた飼育設備を有すること。
(3) 床,内壁等の清掃,消毒等が容易な構造で,器材の洗浄,消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気,騒音,廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(6) 実験動物管理者が配置されていること。
(実験室の設置)
第25条 実験室の設置又は変更を行う場合,管理者は,所定の動物実験室設置(変更)承認申請書により,学長の承認を得なければならない。
2 学長は,申請された実験室を委員会に調査させ,その助言により,承認の可否を決定し,その結果を当該管理者に通知するものとする。
3 管理者は,学長の承認を得た実験室でなければ,当該実験室での動物実験等(一時的保管を含む。)を行わせることができない。
(実験室の要件)
第26条 実験室は,以下の要件を満たさなければならない。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有し,実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物,血液等による汚染に対しての清掃や消毒等が容易な構造であること。
(3) 常に清潔な状態を保ち,臭気,騒音,廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
(施設等の維持管理及び改善)
第27条 管理者は,実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めるものとする。
2 管理者は,実験動物の種類,生理,生態,習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境を確保するものとする。
(施設等の廃止)
第28条 施設等を廃止する場合は,管理者は所定の「施設等廃止届」を学長に提出するものとする。
2 学長は,提出された「施設等廃止届」に基づき,委員会による施設等の調査を経て廃止を承認するものとする。
3 前2項の場合において,管理者は,必要に応じて動物実験責任者と協力し,飼養又は保管中の実験動物を他の飼養保管施設に譲り渡すよう努めるものとする。
第8章 安全管理及び健康管理
(危害防止)
第29条 管理者は,逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定めるものとする。
2 管理者は,人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設等外に逸走した場合には,速やかに関係機関へ連絡するものとする。
3 管理者は,実験動物由来の疾病や実験動物による咬傷等,アレルギー等その他動物実験に伴う危険に対し,適切な予防策及び事故発生時の対応マニュアルを策定する等,実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者の安全管理に必要な措置を講じなければならない。
4 管理者は,毒へび等有毒動物の飼養又は保管をする場合は,人への危害の発生の防止のため,飼養保管基準に基づき,必要な事項を別途定めるものとする。
5 管理者は,人に危害を加える等のおそれがある実験動物について,名札,脚環,マイクロチップ等の装着等の識別措置を技術的に可能な範囲で講じるよう努めるものとする。
6 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,相互に実験動物による危害の発生の防止に必要な情報の提供等を行うように努めなければならない。
7 管理者は,実験動物の飼養及び保管並びに動物実験等の実施に関係のない者が実験動物等に接することのないよう,必要な措置を講じるものとする。
(緊急時の対応)
第30条 管理者は,地震,火災,人と動物の共通感染症の発生時等の緊急時に執るべき措置の計画(緊急時対応マニュアル等)をあらかじめ作成し,関係者に対して周知を図るものとする。
2 管理者等は,緊急事態発生時において,実験動物の保護及び実験動物の逸走による人への危害,環境保全上の問題等の発生の防止に努めるものとする。
(人と動物の共通感染症の対応)
第31条 実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者は,人と動物の共通感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努めるものとする。
2 管理者,実験動物管理者及び動物実験実施者は,人と動物の共通感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう,公衆衛生機関等との連絡体制の整備に努めるものとする。
(動物実験実施者等の健康管理)
第32条 動物実験実施者及び飼養者は,絶えず自己の健康管理を行うとともに,動物実験等の実施により健康に変調をきたした場合又は重症若しくは長期にわたる病気にかかった場合は,その旨を動物実験責任者及び管理者を経て学長に報告するものとする。
2 学長は,前項により報告を受けた場合は,委員会の助言を得て,健康診断その他健康を確保するために必要な措置を講じるものとする。
第9章 教育訓練
(教育訓練)
第33条 学長は,実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者に対して,以下の事項に関する所定の教育訓練を実施し,受講させるものとする。
(1) 法令等及び本学が定める規則等
(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項
(3) 実験動物の飼養又は保管に関する基本的事項
(4) 安全確保及び安全管理に関する事項
(5) 人と動物の共通感染症に関する事項
(6) その他適切な動物実験等の実施に関する事項
2 学長は,前項の教育訓練の実施を委員会に委託するものとする。
3 教育訓練の実施日,教育内容,講師及び受講者名の記録については,委員会において保存するものとする。
4 学長は,実験動物管理者,動物実験実施者及び飼養者の別に応じて必要な教育訓練が確保されるよう努めるものとする。
第10章 自己点検・評価・検証
(自己点検・評価・検証)
第34条 学長は,委員会に,法令等並びに本学が定める規則等への適合性及び遵守状況に関し,毎年,自己点検・評価を行わせるものとする。
2 委員会は,動物実験等の実施状況等及び飼養保管状況に関する自己点検・評価を行い,その結果を学長に報告しなければならない。
3 委員会は,動物実験実施者,動物実験責任者,実験動物管理者及び管理者に,自己点検・評価のための資料を提出させることができる。
4 学長は,自己点検・評価の結果について,外部の専門家による検証を定期的に実施するものとする。
第11章 情報公開
(情報公開)
第35条 学長は,本学における,動物実験等に関する情報(動物実験等に関する規則,実験動物の飼養又は保管の状況,自己点検・評価,外部の専門家による検証の結果及び動物実験委員会の構成等)を毎年1回程度公表するものとする。
第12章 補則
(準用)
第36条 第2条第5号に定める実験動物以外の動物を動物実験等に供する場合においても,使用する動物実験等についても本規則に準じて取り扱うものとし,その取扱いは別に定めるものとする。
(適用除外)
第37条 畜産に関する飼養保管の教育,研究若しくは試験又は畜産に関する育種改良を目的とした実験動物(一般に産業用家畜と見なされる動物種に限る。)の飼養又は保管及び生態の観察を行うことを目的とした実験動物の飼養又は保管については,本規則を適用しないものとする。ただし,上記の目的であっても,血液の採取,人工繁殖や外科的な措置(家畜改良増殖法(昭和25年法律第209号)に基づくもの若しくは獣医系大学動物病院等における参加型臨床実習を除く。)を行う場合若しくは薬理学的な実験を行う場合等は,本規則の適用を受けるものとする。また,解剖学,生理学,病理学等の基礎科学から,応用獣医学,臨床獣医学等の教育,実習に供する場合も本規則の適用を受けるものとする。なお,畜産動物の飼養又は保管については,「産業動物の飼養及び保管に関する基準(昭和62年総理府告示第22号)」,生態の観察については,「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年環境省告示第37号)」に準じて行うものとする。
(違反に対する措置)
第38条 法令等若しくは本学が定める規則等に違反し,又はそのおそれのある動物実験等が実施されていることを知り得た者は,管理者又は委員会に報告しなければならない。
2 管理者又は委員会は,前項の報告を受けたときは,直ちに学長に報告するものとする。
3 学長は,前項の報告を受けたときは,委員会の議に付し,動物実験等の制限又は中止その他の措置を講ずるものとする。
(書類の様式)
第39条 この規則の実施に必要な書類の様式は,委員会が別に定める。
(雑則)
第40条 この規則に定めるもののほか,この規則の実施に関し必要な事項は,学長が別に定めるものとする。
附 則
1 この規則は,平成19年4月1日から施行する。
2 この規則施行の際現に在任する神戸大学動物実験委員会委員(以下「旧委員」という。)は,第6条の規定による委員とみなし,その任期は,第7条第2項本文の規定にかかわらず,旧委員としての残任期間と同一の期間とする。
3 この規則施行の際現に設置されている神戸大学六甲台地区動物実験委員会及び神戸大学医学部動物実験委員会は,それぞれ第11条第1項の規定により設置されたものとみなす。
4 神戸大学動物実験委員会規則(平成16年4月1日制定)は,廃止する。
附 則(平成20年3月28日)
1 この規則は,平成20年4月1日から施行する。
2 この規則施行の際現に在任する改正前の第6条第3号の規定による委員(以下「旧委員」という。)は,改正後の第6条第5号の規定による委員とみなし,その任期は,第7条第2項の規定にかかわらず,旧委員としての残任期間と同一の期間とする。
附 則(平成21年2月24日)
この規則は,平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成21年3月31日)
この規則は,平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成23年3月22日)
この規則は,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成23年3月31日)
この規則は,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成28年3月22日)
この規則は,平成28年4月1日から施行する。
附 則(平成29年3月31日)
1 この規則は,平成29年4月1日から施行する。
2 この規則施行の際,現に在任する改正前の第6条第4号から第12号までの規定による委員は,改正後の第6条第1項第1号及び第3号から第5号までの規定による委員とみなし,その任期の終期は,改正後の第7条第2項の規定にかかわらず,平成30年3月31日とする。
附 則(平成30年3月30日)
この規則は,平成30年4月1日から施行する。
附 則(平成31年3月29日)
この規則は,平成31年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月25日)
この規則は,令和6年4月1日から施行する。