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地域連携活動発表会

<人文学研究科地域連携センターの活動>
発表者:人文学研究科地域連携センター研究員・人文学研究科講師 坂江 渉

人文学研究科地域連携センターの今年度の活動を報告する。地域連携センターは、今から5年前、文学部(大学院人文学研究科)内に発足した。当センターでは、地域の歴史遺産や歴史文化を保全・活用し、まちづくりに如何に利用できるかということを、県内各自治体や住民団体と連携しながら事業を展開している。
スタッフは現在、兼任教員が4名、非常勤研究員が9名である。このメンバーで、5年間で継続事業を含めて、これまでのところ、約20以上の事業を展開してきた。その進め方はさまざまなパターンがある。各自治体と包括協定や部分協定、さらには共同研究契約などを結び、様々な助成金や委託金などにより事業を展開する方法。もう一つは、住民団体から直接に依頼や要望があった時、それに応えて連携するという方法である。

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今年度は、兵庫県北部、とくに但馬、丹波地域との連携で新しい動きが出てきた。昨年、丹波市の春日町棚原という小さな町の住民団体から、直接「うちの町に残っている古文書を読んで欲しい」、また古文書をまちづくりに活かしたいという依頼があった。そこでスタッフが現地を訪問し、古文書の解読・整理を行い、またそれにもとづくミニ展示会や冊子作成などの成果発表を行った。結局そういう地道な活動が認められ、今年8月、丹波市と神戸大学人文学研究科との間で歴史文化に関する協定を結び、この事業をモデルにして、丹波市内各地の実態調査、或いは歴史文化を活かす事業を広めて行くことになった。

次に包括協定を結ぶ小野市との連携事業で特筆すべき点は、2年前から関わってきた第一次世界大戦時の俘虜収容所に関連する展示事業である。この間の事業成果と協議に基づき、来年度の9月に、いわば「里帰り」の展示会と神戸大学交響楽団による当時の再現コンサートを、オーストリアのウィーンでもやろうということになった。これは地道な地域連携事業が国際的な事業にも発展した珍しい事例といえるだろう。

また継続的事業の成果としては、冊子や絵地図の作成があげられる。包括協定を結ぶ神戸市灘区との連携事業では、『水道筋周辺地域のむかし』という冊子を作り、これを地域住民や小学生や中学生の方々に配布して、水道筋周辺地域の地域遺産を知っていただく手がかりにしていこうとしている。また地元というより国の機関であるが、国土交通省近畿地方整備局神戸港湾事務所と一緒に、「神戸みなとまち絵地図」を作成し、神戸市内の小学5・6年生全員に配布、社会科教育の副読本として使われた。

他大学との連携事業として、大手前大学、神戸女子大学と連携し、災害で被害を受けた歴史資料の修復ボランティアの養成事業も始めた。この事業は、大学コンソーシアムひょうご神戸から助成金をいただいている。

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最後に地域との連携事業そのものではないが、大学教育のカリキュラム編成にも関わった。人材教育、すなわち将来における地域歴史遺産の担い手の教育という視点から、今年から人文学研究科で「地域歴史遺産の活用研究」という科目を、学科内「共通科目」として設置し、それを私たち地域連携センターが支えるということをやっている。

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