トップページ > 地域連携活動発表会 > 農学部地域連携センターの現状と課題

地域連携活動発表会

<農学部地域連携センターの現状と課題>
発表者:農学部地域連携センター長・農学部教授 加古 敏之
専門研究員 中塚 雅也

「農学部地域連携センターの現状と課題」という題で、前半は加古が、後半は地域連携センター専門研究員中塚が報告する。

農学部地域連携センター設置の目的は、次の3点にある。すなわち、農学部の組織、各教員が既に行っている社会貢献活動を地域連携センターとしても支援する、中間支援機能。次いで、センターがリーダーシップを取って、地域連携活動を実施、さらに相談・情報発信機能を果たすということである。

 具体的には、農学部の地域連携活動としては、自治体、農業団体、企業と連携活動を行っている。例えば、兵庫県農林水産技術総合センターと但馬牛の遺伝子ゲノムのデータベース化や酒米の品種改良の共同研究。さらに、神戸大学ブランドのお酒「神戸の香」を生産、販売。兵庫県、神戸市、兵庫県農協中央会、コープこうべとの五者による定期的な意見交換会。春秋セミナーや公開講座を開催。行政関係の諸会議の委員。兵庫県農林水産部と農学部との連携講義では、兵庫県農林水産部の幹部職員が、環境と農業を結びつけた講義を行い、学生からは県の農林水産行政へ提案をしようという計画も立てられている。

***

地域連携センター独自の活動としては、運営委員会で地域連携センターが認定したプロジェクトの支援、NPO法人「食と農の研究所」が進める「ボラバイト」(ボランティアとアルバイトを結びつけたもの)の人材登録窓口の支援、篠山市との連携活動などがある。 

***

篠山市との連携活動を少し詳しく説明しておく。この活動は今年度から始まった。同市は、農学部の前身である旧兵庫農科大学があったところで、人的にも歴史的にも農学部と関係が深い。そこで、農学部の「生きた教育・研究フィールド」と位置づけ、現場起点、問題解決型の実践的教育を行い、その結果、地域の活性化に寄与していくことを目指している。

篠山市との連携活動の内容は、主として3つある。1つは、地域連携活動を推進する拠点施設、篠山フィールドステーションを、この11月10日に開設した。次いで、来年度から本格的な地域推進活動を推進するために、基本協力協定と呼んでいる計画書の策定を現在進めている。3つ目は、農林水産省の高度化事業の助成を受け、「ナレッジマネジメントを導入した地域コミュニティ再生手法の開発」という3年計画の調査事業を開始した。

「ナレッジマネジメントを導入したコミュニティ再生手法の開発」とは、元来、企業経営で使われる言葉で、「知識を上手く使っていこう」という方法である。その企業経営での考え方を農村地域のコミュニティ開発に活かせないかと考えている。具体的にいえば、住民参加にしていくための仕組みをどう作っていくかである。少子高齢化社会の中、集落より少し大きな単位で、地域の活力を使う知恵をどう活かしていくかを考えて行こうとしている。また、小学校区において、自治管理システムを再編していくために、小学校区コミュニティの再構築へのサポートである。現在、そういった実情、現状をヒアリング調査等により整理し、また、今後の在り方を住民の方々と共に検討していくという状況である。さらに、学生参加のナレッジマネジメントということで、こういった知恵を管理していくのに大学生が関わってやっていけないか、ということを進めている。既に、第1回のワークショップを試行的に行い、第2回目をこの1月に開催する予定である。ねらいは、外部者の目で地域の生活の知恵の掘り起こしてもらうということ、インタビューの結果及びとりまとめを学生と共にし、集落のホームページに掲載して多くの人に目を通してもらうことである。この中では、地域の懇親会といったような形で、楽しみながらやっていきたい、と思っている。以上のような活動に、農学部地域連携センターでは取り組んでいる。

トップページへ