○国立大学法人神戸大学における研究費不正使用に関する通報等処理規程
(平成19年10月23日制定) |
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(目的)
第1条 この規程は,国立大学法人神戸大学における研究費の取扱い及び不正使用防止に関する規則(平成19年9月28日制定。以下「規則」という。)第18条の規定に基づき,国立大学法人神戸大学(以下「本学」という。)における研究費の不正使用に係る通報,調査,措置等に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において使用する用語は,規則において使用する用語の例による。
(不正使用に関する通報)
第3条 何人も,本学において不正使用(不正使用の疑いを含む。以下この条から第8条までにおいて同じ。)があると思料するときは,通報窓口に通報することができる。
2 通報者は,通報者本人の氏名,配置先又は所属,住所等及び次に掲げる事項を明示した書面を通報窓口に提出するものとする。
(1) 不正使用を行った疑いがある者の氏名
(2) 不正使用の態様及び事案の内容
(3) 不正使用と判断できる合理的理由及び証拠
3 前項の規定にかかわらず,通報の方法は,郵送,電子メール,ファクシミリ,電話又は面談により行うことができるものとする。
4 匿名による通報があったときは,当該通報を信ずるに足る相当の理由,証拠等がある場合に限り,統括管理責任者と協議の上,受け付けるものとする。
5 通報窓口の職員以外の職員が,通報を受けたときは,速やかに通報窓口に連絡しなければならない。
6 構成員が,自らの職務において不正使用を知り得たとき又は報道,学会等から不正使用の疑いが指摘されたときは,通報があったものとみなす。この場合において,この規程に基づく通報者への通知及び報告は,行わないものとする。
(報告及び予備調査)
第4条 通報窓口は,前条の規定により通報を受け付けたときは,速やかに統括管理責任者を経由して最高管理責任者に報告するものとする。
2 最高管理責任者は,前項の報告に係る事案について予備調査が必要であると認めたときは,当該事案に関係する部局の研究費コンプライアンス推進責任者(以下「関係推進責任者」という。)に予備調査を行わせるものとする。
3 関係推進責任者は,予備調査を実施し,予備調査の指示を受けた日から14日以内に,その結果を最高管理責任者に報告しなければならない。
4 前項に規定する予備調査の実施に当たっては,予備調査の公正性及び透明性を確保するため,調査の対象となる構成員,通報者に関係する者,又は利害関係人(以下これらを「関係者」という。)は,調査に加わることができない。
(調査)
第5条 最高管理責任者は,前条第3項の報告に基づき,通報の受付日から30日以内に調査の要否を判断するとともに,当該調査の要否を当該不正使用に係る研究費の配分機関(以下「配分機関」という。)に報告するものとする。
2 最高管理責任者は,前項の規定に基づき調査を実施することを決定したときは,神戸大学研究費の不正使用に係る調査委員会(以下「調査委員会」という。)に当該事案に関する調査を行わせるものとする。
3 最高管理責任者は,調査を実施することを決定したときは,調査の開始を通報者に通知するものとし,調査を実施しないことを決定したときは,調査しない旨をその理由と併せて通報者に通知するものとする。
(調査委員会)
第6条 調査委員会は,次の各号に掲げる委員をもって組織する。
(1) 統括管理責任者
(2) 内部統制室長
(3) 弁護士又は公認会計士 若干人
(4) その他委員長が必要と認めた者
2 前項第3号の委員は,調査の公正性及び透明性を確保するため,本学並びに調査の対象となる構成員及び通報者と直接の利害関係を有しない者とする。
3 第1項各号に掲げる委員のうち,調査の対象となる構成員及び通報者と直接の利害関係を有する者は,調査に加わることができない。
4 調査委員会に委員長を置き,統括管理責任者をもって充てる。
(調査の実施)
第7条 調査委員会は,第5条第2項の規定による最高管理責任者からの指示があったときは,不正使用の有無及び内容,不正使用に関与した者及びその関与の程度,不正使用の額等について調査し,必要に応じて調査の進捗状況を最高管理責任者に報告するものとする。
[第5条第2項]
2 最高管理責任者は,調査方針,調査対象,調査方法等について配分機関に報告するとともに,その対応について配分機関と協議しなければならない。
3 調査委員会は,調査の対象となる構成員(以下「調査対象者」という。)に対し,事実の適正な認定に必要な資料(以下次項において「必要資料」という。)の提出を命ずることができる。
4 調査委員会は,必要資料を入手することが困難であると認めるとき,又は必要資料が隠滅されるおそれがあると認めるときは,次の各号に掲げる措置を命ずることができる。
(1) 調査の対象となる構成員に対し,調査対象場所を指定し,当該場所に立ち入ることを禁ずること。
(2) 調査対象者が,調査委員会の指定した者と連絡をとることを禁ずること。
(3) 指定された調査対象場所から,調査対象者及び調査委員会の指定する者が,調査委員会の指定する物品を持ち出すことを禁ずること。
(4) 調査対象場所を,期間を定めて閉鎖すること。
5 調査委員会は,前項各号に掲げるもののほか,調査の実施期間中において,必要に応じて調査対象者が調査の対象となる研究費を使用することの禁止を命ずることができる。
6 調査委員会は,第3項,第4項各号及び前項に掲げる命令を発するに当たり,調査対象者に審問することを要しない。ただし,第4項第4号又は前項の命令を発する場合にあっては,当該調査対象場所を管理する部局の長の同意を得るものとし,当該部局の長は,当該部局の業務の遂行に著しい支障が生ずる場合を除き,同意を拒むことができないものとする。
(審問)
第8条 調査委員会は,調査に当たり,調査対象者を審問しなければならないものとし,審問については,調査対象者の求めに応じて書面又は口頭により行うものとする。
2 調査対象者は,審問において,調査委員会に対し,自己の行為が不正使用に当たらないと主張するときは,その理由を説明する責任を負う。
(調査協力)
第9条 調査委員会から,証言又は証拠の提出等の協力を要請された構成員は,当該協力の結果自らが民事上及び刑事上の責任を追及され,又は国立大学法人神戸大学職員就業規則(平成16年4月1日制定。以下「就業規則」という。),神戸大学教学規則(平成16年4月1日制定。以下「教学規則」という。)等の規定による懲戒処分等を受けるおそれがある場合を除き,これに協力しなければならない。
2 調査委員会が,その指定する調査対象場所に立ち入り,調査対象場所から,事実の認定に必要な機器,備品等を持ち出すとき又は調査対象者を除く構成員に証言又は証拠の提出等の協力を要請するときは,調査対象場所を管理し,又は協力を要請する構成員の配置された又は所属する部局の長の指名する者を立ち会わせなければならない。
(最高管理責任者への報告)
第10条 調査委員会は,調査の結果に基づき,調査対象者に係る不正使用の有無並びに不正の内容,関与した者及びその関与の程度並びに不正使用の相当額等の認定について裁定し,書面により最高管理責任者へ報告するものとする。
2 調査委員会は,前項の報告において,調査対象者について不正使用の事実があると認められたときは,次に掲げる措置をとらなければならない。
(1) 調査対象者に対して,不正使用を行ったことを理由とする就業規則若しくは教学規則の規定による懲戒処分又は神戸大学名誉教授称号授与規程(平成16年4月1日制定)の規定による称号の取消し,神戸大学学位規程(平成16年4月1日制定)の規定による学位の取消し等の必要性について,最高管理責任者に報告すること。
(2) 最高管理責任者,統括管理責任者又は関係推進責任者が管理監督者として適正を欠いていたことを理由とする損害賠償責任,就業規則の規定による懲戒処分等の必要性について,最高管理責任者に報告すること。
(3) 研究費を私的に使用する等,行為の態様が悪質であった場合は,調査対象者に対し刑事訴訟法(昭和23年法律第131号),民事訴訟法(平成8年法律第109号)等に基づく訴えを提起することの要否について,最高管理責任者に報告すること。
(4) 最高管理責任者に当該不正使用の是正措置及び再発防止のために必要な措置(以下「是正措置等」という。)を講ずるよう意見を提出すること。
3 調査委員会は,第1項の報告において,調査対象者について不正使用の事実がないとされたときは,次に掲げる措置をとらなければならない。
(1) 調査対象者による学術研究活動の円滑な再開及び調査対象者の名誉の回復のために必要な措置について最高管理責任者に報告すること。
(2) 通報者が構成員であり,かつ,当該通報者が,調査対象者につき不正使用の事実がないこと又は当該事実があると思料するに足りる合理的な根拠がないことを知りながら,第3条の規定による通報をしたことが明らかであると認められるときは,当該通報者に対する就業規則,教学規則等の規定による懲戒処分等の検討の必要性について,最高管理責任者に報告すること。
[第3条]
(調査結果及び通知)
第11条 前条の報告を受けた最高管理責任者は,必要な処置を決定するとともに,当該決定に応じて,通報者及び調査対象者並びに関係推進責任者に通知するものとする。
(異議申立て)
第12条 通報者及び調査対象者は,前条の処置に対し不服がある場合は,通知を受けた日から起算して14日以内に最高管理責任者に対して書面により異議申立てを行うことができる。ただし,異議申立ては,1回を限度とする。
(再調査)
第13条 最高管理責任者は,異議申立てに関する書面を受理したときは,再調査の要否を判断し,再調査の実施を決定したときは,調査委員会に対し,再調査の実施を指示するものとする。ただし,異議申立ての趣旨が調査委員会の構成等その公正性に関するものであるときは,調査委員会委員を交替させることができるものとする。
2 最高管理責任者は,再調査の実施を決定したときは,通報者及び調査対象者に通知するものとする。
3 調査委員会は,再調査の指示があったときは速やかに再調査を行い,その結果を最高管理責任者に報告するものとする。
4 最高管理責任者は,前項の報告に基づき,異議申立てに必要な措置を決定するとともに,その結果を通報者及び調査対象者に通知するものとする。
5 最高管理責任者は,再調査を実施しないことを決定したときは,その旨を理由と併せて通報者及び調査対象者に通知するものとする。
(是正措置)
第14条 最高管理責任者は,第10条第2項第4号に規定する意見により必要と認めるときは,速やかに是正措置等を講じ,又は関係推進責任者に対して是正措置等を講ずるよう命ずるものとする。
2 関係推進責任者は,前項の規定により是正措置等を講じたときは,当該是正措置等の内容及びその結果等について,最高管理責任者に報告するものとする。
(配分機関への報告及び調査への協力等)
第15条 最高管理責任者は,通報の受付日から210日以内に,調査の結果を配分機関に報告するものとする。当該期日において調査が完了しない場合においては,調査の中間報告を配分機関へ書面により提出するものとする。
2 前項の規定にかかわらず,調査の過程であっても,不正使用の事実が確認された場合には,速やかにその旨を配分機関へ書面により報告するものとする。
3 前2項の報告において,不正使用の事実を認定したときは,不正発生要因,不正に関与した者が関わる研究費における管理及び監査体制の状況,再発防止計画を併せて報告するものとする。
4 最高管理責任者は,調査に支障がある等,正当な事由がある場合を除き,配分機関の求めに応じ,調査の完了前であっても,調査の進捗状況報告及び調査の中間報告を書面により提出し,又は配分機関が行う当該事案に係る調査に協力するものとする。
5 最高管理責任者は,第1項の報告の結果,当該配分機関から不正使用に係る研究費の返還命令を受けたときは,調査対象者等に当該額を返還させるものとする。
6 配分機関が報告を求めないときは,第1項から前項までの規定にかかわらず,これらの規定による報告等を省略することができる。
(調査結果の公表)
第16条 最高管理責任者は,不正使用の事実を認定したときは,速やかに調査結果を公表するものとする。
2 最高管理責任者は,調査事案が学外に漏えいしていた場合又は社会的影響が大きい場合は,必要に応じて当該調査が完了していない場合であっても中間報告として公表するものとする。
3 公表する内容は,次に掲げる事項を含むものとする。
(1) 不正に関与した者の氏名及び配置先又は所属
(2) 不正の内容
(3) 本学が公表時までに行った措置の内容
(4) 調査委員会委員の氏名及び配置先又は所属
(5) 調査の方法及び手順
4 最高管理責任者は,関係者のプライバシー等の権利利益を侵害するおそれがある場合等,前項の規定によることが適当でない合理的な理由がある場合は,不正使用に関与した者の氏名,所属等を公表しないことができる。
(通報者の保護)
第17条 本学は,構成員が通報を行ったことを理由として,当該構成員に対し,解雇(派遣労働者又は請負契約その他の契約に基づき本学の業務に従事する者にあっては,当該契約の解除)又はその他の不利益な取扱いをしてはならない。
2 本学は,通報をした職員等の就労又は就学に係る環境が悪化することのないよう,適切な措置を講じなければならない。
(守秘義務)
第18条 調査委員会の委員及び本規程に基づき不正使用の調査に関係した者は,その職務に関し知り得た情報を他に漏らしてはならない。
2 この規程に定める通報,調査,措置等の業務に携わる者又は携わった者は,通報者の個人情報,通報内容及び調査により知り得た情報を他に漏らしてはならない。
(退職者等への準用)
第19条 過去に本学の構成員であった者について,通報があった場合は,構成員の例に準じて取り扱うものとする。
2 最高管理責任者は,過去に本学の構成員であった者につき,その在職又は在学中に不正使用の事実の有無について配分機関から調査を求められた場合又は当該機関が実施する調査への協力を求められた場合において,必要と認めるときは,調査し,又は当該機関の調査に協力するものとする。
(雑則)
第20条 この規程に定めるもののほか,この規程の実施に関し必要な事項は,学長が定める。
附 則
この規程は,平成19年10月23日から施行する。
附 則(平成27年1月20日)
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この規程は,平成27年2月1日から施行する。
附 則(平成27年9月30日)
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この規程は,平成27年10月1日から施行する。
附 則(平成28年9月30日)
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この規程は,平成28年10月1日から施行する。
附 則(平成29年3月31日)
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この規程は,平成29年4月1日から施行する。
附 則(令和3年12月23日)
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この規程は,令和4年1月1日から施行する。