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河野 桃さん 神戸大学経済学研究科修士2年 ダブルディグリー留学

神戸大学経済学研究科修士2年河野桃さんは、2014年9月から2015年8月まで、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学(KU Leuven)のMaster of European Studies(以下MAES)にDD(ダブルディグリー)留学をしました。

【DD留学の動機】
動機は主に2点あります。
 1点目は、専門性を持ちつつ、異なる環境、言語で学際的に学ぶことにより、広い視野で深く物事を考え、伝えられる力を身に付けられるのではと考えたためです。
 学部生の頃、ベルギーに初めて留学をしました(単位互換留学)。その中で、社会における様々な物事を考えるためには、学生として得た知識や経験を活かす練習が必要であることを痛感しました。学問という考える手法を基に、自分自身の意見を論理的に示す練習こそ修士課程で出来ることだと考え、修士課程への進学を決めました。研究対象地域であるヨーロッパで学ぶことにより、専門性が深まる他、学際的な雰囲気の中、自分の考えを伝える最適な環境が留学先にはあると感じ、2度目の留学を希望しました。
 2点目は、2つの修士学位を持つことで将来の進路の幅を広げたいと考えたためです。将来は、日欧関係、できれば高等教育分野で主体的に関わりたいと考えています。その上で、日欧両方の観点から学ぶことや、海外大学院レベルのリサーチ/コミュニケーション能力と学位を持つことは重要だと考えました。

【単位互換留学とDD留学との違い】
 明らかな違いは、学位取得を目指すか否かですが、この違いは、私の場合、1.学習環境と2.将来展望の変化をもたらしました。
 1点目の学習環境について、学位取得を目指す学生と一緒に勉強する環境は、より忙しくハードながらも充実したものでした。学部生時代の留学は、勉強はありつつも時間的・精神的余裕はあり、旅行なども満喫していました。一方で、2度目のDD留学では、勉学を優先する毎日だったように思います。MAESで課される課題や試験が多い上、修士論文執筆もあり、のんびりする時間はあまりありませんでした。求められるレベルも高く、大変と感じることもありましたが、同じプログラムに所属する学生の積極的な姿勢に刺激を受け、時に愚痴も一緒につぶやきつつ、自然と勉学へのモチベーションを維持することが出来ました。
 2点目の将来展望について、日本だけでなく海外でも進路の幅を広げられそうだと考えるようになりました。海外では、修士の学位が最低限の学位と定める就職先も多く、海外の大学で修士学位取得は国際経験が豊富と見なされることもあるため、海外と関わる仕事に就きたい場合は、有利と言えるかもしれません。ただし、本質として、学位の有無ではなく、学位取得プロセスで得た様々なスキルや経験が最も重要だと考えています。

【所属プログラムについて】
 MAESは、欧州について、学際的に考察を重ねる1年間の修士プログラムです。欧州出身の学生が60~70%ほどを占めるものの、欧州出身者でもバックグラウンドは大きく異なり、多様性豊かなプログラムでした。
 MAESは4つのモジュールに分かれており、学生はどれか1つのモジュールに所属します。「欧州の歴史・多様性・文化に関する超国家的側面」、「EUの対外関係」 、「グローバル化する欧州」、「欧州―アジアの相互関係と比較」の4モジュールです。 
 修論執筆のための指導教員はいますが、日本のように毎週のゼミはなく、基本的に2~3ヶ月に一度進捗状況を報告し、教員からのコメントを元に、学生は自らリサーチ、論文執筆を行います。
 授業の他に、EU機関を巡る旅行や、実際に第一線で活躍されている現役職員による講演会なども多く、日本では実現が難しい貴重な機会が多々有りました。

【DD留学を通して】
 周りの方々のお陰で、2015年9月に卒業が確定しました。常に課題や予習に追われ、不安な時も多々ありましたが、振り返ってみると、自分で自分にプレッシャーをかけすぎていただけで、もっと気楽にやれば良かったのかな、とも考えています。
 DD留学を通して学んだこととして、印象に残る2点を紹介したいと思います。
 1点目は、勉強や研究に対するアプローチの違いを実際に肌で感じ、ホーム校とは違うスタンスで勉学や研究に取り組めた経験です。留学初めの数ヶ月は、新しい環境への慣れと同時に課題や試験の多さがプレッシャーとなり、勉強のペースが掴めず苦労しました。このことを親しい人に相談する中で、留学先の大学ではスタディアドバイザーというサービスがあることを知りました。その後、定期的にアドバイザーの方から勉強方法(英語論文を効率的に読む方法など)のコーチングを受けていました。日本で勉強していたときは、文献を読み込むことでより多くの情報を得ようと考えていましたが、現地では、いかに大量の情報量の中から重要な点を絞り出し、自分の新たな主張の一部として活かすかという点に重点が置かれているように感じました。
 2点目は、専門性があると、学際性はより深まると感じたことです。MAESは学際的なプログラムでしたが、一番面白いと感じたのは、様々な学問バックグラウンドを持った学生や先生に対して、自分の専門分野をもとに違う意見をぶつけてみることでした。MAESでは、学生がよく発言し、授業や課題でも自分の考えを論理的に表現することが重視されていたため、とても刺激的で学びの多い一年でした。自分の考えを簡潔かつ明確にまとめ、伝えることの難しさを痛感する一方で、相手の意見を聞き主体的に考えることでより自分の考えを深めることが出来ました。

【進路について】
 2つの学位が取れることは魅力的ですが、一方で、DD留学が実際に進路にどう結びつくかは私自身まだよくわかりません。留学経験を活かせる可能性は大いにあると感じる一方、EU市民でない学生がEU圏内で就職するには多くのハードルがあります。
 具体的なハードルとして、まず労働ビザの問題、言語能力のハンディ、職務経験を積むことの難しさ、そして人脈の広さのハンディが挙げられます。EU圏内では、労働ビザの有無で採用か否かが決まることも多々ありますが、EU圏外の人に対しては、よほど専門職でない限り(医師など)ビザ取得は難しいのが実状です。また、母語の他に数カ国語話せる人も多く、基本的に日本人は言語能力の面で劣ってしまいます。加えて、職務経験が採用の際に大きく評価されることから、学位だけ持っていても評価されないこともあります。
 デメリットばかり挙げましたが、予想外のチャンスが飛び込んでくることもあります。人脈のお陰で思わぬ採用が決まることもよくありますし、インターンシップ先で就職を決める学生もいます。私の場合では、幸い、留学中からブリュッセルにあるEU政策専門の日系コンサルタント会社にてインターンシップの機会を得ました。留学後期から現在まで、日本の企業が注目するEUの環境政策や自動車政策についてのレポート翻訳などを担当しています。環境政策や自動車政策は私の研究分野ではないものの、MAESやホーム校で学んだEUの知識が活きることは多々あり、とてもやり甲斐があります。 

【最後に】
 私にとってのDD留学は、忙しい毎日ながらも気づきと実りの多い経験となりました。
今まで経験したことのない課題や問題にぶつかる度不安な気持ちはありましたが、実際に行動に移してみると、意外と予想以上の成果が出ることは多く、これまで気づかなかった新しい視点やチャンスに出会うこともしばしばありました。これらの気づきがあったからこそ、長期的な目標を見据えつつも目の前の事に全力で取り組もうと心から思えるようになりました。
 一方で、DD留学が最適かどうかは、人によって様々だと思います。もちろん、留学にはリスクやコストがあります。例えば、留学準備の為に費やす時間、費用、労力の他、日本での就職活動時期を逃す可能性も否定出来ません。それでも、自分が留学で得たいものや挑戦したいことがあるのであれば、自分の気持ちを自分で騙すことなく、まずは挑戦してほしいと思います。頭の中で考えているほど難しいことではないかもしれません。きっと充実した留学になると思います。

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