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江本佳菜子さん 九州大学法学府(法政理論専攻)修了

【留学までの経緯】

私は2012年9月から現在までベルギーのルーヴァン・カソリック大学のMAESプログラム(Master of Arts in European Studies, KU Leuven)に正規留学しています(私費)。このプログラムは1年間の修士プログラムで、「欧州の歴史・多様性・文化に関する超国家的側面」、「EUの対外関係」 、「グローバル化する欧州」、「欧州―アジアの相互関係と比較」という4つのモジュールから個人の関心に合わせてモジュールを選択し、各学生の選択によってEUに限らず欧州というより大きな視点から政治、法、経済、歴史、社会など様々な側面から欧州を英語で学ぶことのできる学際的プログラムとなっています。
私は法学部入学時から公法系に興味があり、学部3、4年次では国際公法ゼミに入り、法学府でも主に国際公法を学びました。九大の修士論文でも国内避難民(IDP)に対する国際人権法の適用可能性を論じ、九大在学中にはとりわけEUを研究したいという強い気持ちや関心があるわけではありませんでした。ただ、国際公法を勉強する中で「法と政治の関係についてもっと勉強をし、国際法学習者として国際政治に言及しつつ現代国際社会の問題を研究するにはどうしたらいいのか」という疑問を常に持っていました。また、EUという比較的新しく先例のないアクターが国際法の中で、そして国際法以外の分野でどのような対象として扱われており、また、どう扱われるべきなのかという論点に対して自分なりの答えを探したいという気持ちもありました。MAESプログラムでEUを法学や政治学といった分野横断型で学ぶ教育を受けることで学際的な思考法を身につけたいということ、そしてその過程でEUとは何かという問いに対して自分なりの回答を得られるかもしれないというのがMAESプログラムを出願する直前の率直な思いでした。

【留学生活】
KULからは毎年九大のJTWに学生が来ることが多く、私も学部時代からチューター活動を続けていたため親近感のある大学のひとつでした。留学生達の話どおり治安もよくとても住みやすかったです。交換留学制度が九大や日本の他大学とも提携してあり、KUL内で日本人の学部生は必ず数人はいるようですが、私が在籍していた年のMAESプログラムでは約100人中、約半数がベルギー出身の学生、アジア系の学生は私を含めて4人程度、日本人は私1人で残りはEU加盟国を中心とした各国からの留学生でした。多くの学生が既に別の分野で修士を取得しており、国籍だけでなく在籍する学生の学問的背景も多様性に富んだプログラムです。
私は「グローバル化する欧州」というモジュールを選択し、EUの対外政策論、国際機構法、欧州の歴史、EUの移民政策論、政治哲学など本当に様々な分野から履修しました。どの科目も毎回指定参考文献の量が多く、その予/復習に加え課題もあり、とにかくハードな毎日でしたが、様々な経験を持つ同級生達と仲間意識を持って困難を乗り越えていく体験ができたことは、私にとってはとても価値のあるものでした。また、EUを学ぶ上でEUの中心機関が集まるブラッセルに程近い場所で勉強ができるという環境はとても恵まれており、講義のゲストスピーカーとしてEU諸機関の現役職員の方々がいらっしゃることも度々ありました。

【1年を過ごして】
2013年の9月までで必要履修科目は全て単位を取り終えました。1年を終えて、ここで学んだこと、そしてこれまで学んだことを実社会で活かす経験をしたいという思いがあり、修士論文を提出せずにもう1年同プログラムに籍を置いたままインターンシップをすることにしました。EU圏内の学生でさえインターン先の獲得に苦労をしており、アジア系の学生は応募条件を満たす求人を見つけることすら難しいのが実情です。母国語などルーツを活かす求人があるEU圏内や欧米の学生に比べると、母国語、そして使用できる言語数に圧倒的ハンディがあることに加え、ビザの問題がアジア系学生に共通する主なハードルとなってきます。私自身色々な組織/企業の求人に募集しましたが返信すらないことが普通で、とても厳しい現実を目の当たりにしました。幸い私の場合はご縁があって2013年12月から国際連合薬物犯罪事務所(UNODC)のウィーン本部で人身取引・密入国対策のプロジェクトに関連するインターンをさせていただくことが決定し、九大で学んだ国際法、そしてKULで学んだEU論やグローバルガバナンスの双方を生かすことのできる機会を得ることができました。しかし、MAESで勉強をした1年間は今まで過ごしたどの1年よりも濃密で学ぶことの多い充実した1年であり、たとえインターンが決定しなかったとしても私にとっては十分に満足のいく貴重な経験であったことにかわりはなかったと断言できます。

何を選んだからといって絶対にこうなるという方程式はありませんが、ここで様々なバックグラウンドを持つ人々と交流し共に励んだ経験から、どの国にいてもどこを目指していても、基本となるのは人と人のつながりであるということを深く実感しました。MAESプログラムでの選択肢は無限大ですが、どのような選択をしても様々な背景をもつたくさんの人とつながるチャンスは必ずあります。今年からは九大法学府とMAES間でダブルディグリー協定が成立したと聞きました。私のように完全な正規留学生としての留学よりも、母校とつながっているという安心感をもったまま勉学に励める環境になるのではないかと思います。この制度をいかし、少しでも関心があるのであれば多くの人にためらわずに飛び込んでみてほしいと思います。思わぬ世界が開ける可能性もきっとあると思います。私自身MAESに出願する時にはこの留学が国際機関へつながるとは思ってもみませんでしたが、最終的には中学時代からずっと温めてきた国連で人権問題に関わりたいという希望に大きな一歩を踏み出せる場所にたどり着くことができ、UNODCでのインターンがどのような経験になるのかを今からとても楽しみにしているところです。

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