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地域連携活動発表会

<医学部保健学科地域連携センターの活動>
発表者:医学部保健学科地域連携センター長・医学部保健学科教授 高田 哲

今年度は、保健学科地域連携センターの事業を紹介するとともに、地域の活動をどう国際的に派生させて行くかについても報告を行ってみたい。

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まず、子育ての支援として、特定のリスクを持った方たちの支援に焦点を置いた活動がある。例えば、神戸市と一緒に十数年続けているハイリスク児の支援事業である。出生体重1500g未満の極低出生体重児が、神戸近辺でも年間百数十名位生まれている。こういう方たちの子育て支援事業を、委託費を頂いて、神戸市と連携しながら実施している。

また、神戸市教育委員会との連携事業として、肢体不自由養護学校を対象に、小児科医師、看護師などの専門職によって構成される研修チームが医療的ケアに関する巡回指導を年12回実施している。様々な在宅の医療が進んでくると、家庭や学校で医療的なケアを行う方々を指導することが求められてくる。このため重度障害児へのケアに関する研修プログラムを教育委員会とともに企画・実行している。

平成19年度からは、灘区のチャレンジ事業で高齢者の方たちが健康作り隊というのを作った。「歩く」ということを科学的にサポートするということで、歩くことを定量的に測定しようという試みである。歩いているときにGPSを付けて、歩いたところを地図で記録し、それだけでなく、今日のここの場所は良かったなというところを地図上に記録できるというようなシステムを提供しようとしている。

人間発達環境学研究科の「のびやかスペース「あーち」(旧灘区役所内)」では保健学科も一緒に活動している。最近、広汎性発達障害の子どもたちの問題が大きく取り上げられるようになってきた。子どもを預かりながら、家族の教育プログラムや学生や保育士の研修プログラムの開発を行っている。これは、厚生労働省のモデル研究事業にも位置づけられており、全国に展開していくための一つのモデルにもなっている。この事業では、神戸大学だけでなく、5つ位の大学から学生が集まり一緒に協力しながら事業を進めている。

保健学科の地元である須磨区との連携事業も進めている。神戸市も少子化が進んでおり、学校が統合され空いた小学校が出てきている。これらの空いた小学校を利用し、地域へのサポート事業を行っている。就学前の発達障害の子どもたちに対して家族を教育する、それをサポートするボランティアも教育するなど、他大学の協力も得ながら地域のサポート拠点を作っていこうとしている。この事業は、これまで行ってきた「あーち」での活動や「子育て支援ネットワーク」事業の延長線上にある。神戸市が厚生労働省から、新しい発達障害支援整備事業ということで採択され、3年間の予定で予算の補助を受けている。また、地元自治会と一緒に更年期障害対策事業なども開始した。

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国際的な面に目を向けてみよう。外国人をサポートする医療通訳者の養成事業を行い、今年度も研究会を実施している。また、インドネシア・ジャワ島の震災の後、被災地域の保健師・医師を対象に、ジョグジャカルタにおいて、被災地域での保健活動についてのセミナーを開催した。この国際セミナーは、現地のガジャマダ大学と協力しながら実施しているもので、今回で4回目になる。震災後、神戸市や兵庫地域で開発してきた子どものケアの経験を向こうのコミュニティに応用して、ガジャマダ大学と協力の下、いくつかのプログラムを実施してきた。小中学校、幼稚園の子どもたちを対象に高校生をボランティアとするような事業を行っていたところ、神戸市の社会福祉協議会を通じて神戸市民からの援助を頂いた。この援助をもとに被災地域に「子どもの家」を2007年12月に竣工した。すでにいくつかの事業を始めているが、現地大学から4人の教員が2週間から4週間、神戸大学に短期留学して地域連携センターのプログラムを実際に体験しながら、その仕組みを学んでいる。

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