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地域連携活動発表会

<医学部保健学科地域連携センターの活動について>
発表者:医学部保健学科地域連携センター長・医学部保健学科教授 高田 哲

医学部保健学科地域連携センターは、文学部がいわゆる風土とか歴史に、農学部が自然環境を中心に事業を行っているのに対し、人を対象、中でも少子高齢化社会と対応した地域づくりということに主眼をおいて以下のような事業を進めている。すなわち、ハイリスク児を持つ親への育児支援事業、重度障害児のための医療的ケア支援事業、就学前の発達障害児と家族に対する支援事業、地域の健康づくり支援事業、外国語医療支援システム開発事業である。

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まずハイリスク児を持つ親への育児支援事業、極低出生児の家族の支援事業は、神戸市総合児童センターと神戸市保健課との共同事業で行っている。現在、この事業には、130組の家族が参加し、毎週火曜日、4クラス、年間で40回のクラスを持っている。このクラスでは、各地域の保健師、臨床心理士、看護師等になっていく学生たちが実際に支援プログラムをどういう形で作っていくか、家族同士が話し合う中で子ども自身の状態をありのままに受け入れることができるようにプログラムを作っており実践的な研修の場となっている。また、母と子が同じ作業を行う中でのことで、家族との結び付きを強めるようにいくつかの試みもなされている。

第2に、重度の障害児の医療的ケア支援事業について説明する。医療が病院医療から在宅医療へと大きく変わって行く現在、医療職、専門職でなければ出来なかったケアを家族やそれ以外の非医療職が関わっていっていくようになってきた。私たちはこのような子どもたちを対象に教職員が安全に医療的にケアを行なえるように研修システムの作成や各学校への巡回を行っている。また、学外での修学旅行では、神戸市教育委員会と協力して、医師や看護師を派遣し、子どもたちへのサポートを行っている。

第3に、発達障害児の子どもに対するプログラムについて紹介する。これは、神戸大学総合人間科学研究科のサテライト施設「あーち」で、総合人間科学研究科とも協力しながら、家族、保育士等と合同の学習を行い、その間、学生が発達障害を持っている子どもたちのケアをするという手法を取っている。このような発達障害支援教室は、全国的にあまりなく、神戸市から西部でも作って欲しいとの要請がある。そこで保健学科のある須磨区に、市の事業として、平成19年度に新しい発達支援教室を開始することになっている。

第4に、一般的な健康づくりや神戸市による「健康を楽しむまちづくり」事業にも協力している。

最後に、現在神戸市には在日外国人が多く住んでいるが、この子どもたちが病気になった場合、特に緊急に医療機関に行ったときには、上手く病状を説明できないことがある。その支援のために、現在、外国語の医療支援システムを開発しようということで、NPO法人と協力し、何回か講習会を開いている。また、海外からの介護、看護要員の導入などへの動きについても、いかに支援していくべきか情報を集めている。

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さらに、地域での経験が国際的な活動に広がりつつある。ジャワ島中部地震の後には、子どもたちの支援プログラムを一緒に考えて行こうとガジャマダ大学との共同での取組が行われている。また、ニューヨークにおける高校生、青少年における健康、学校保健のシンポジウムや厚生労働省の専門官等を交えた国際的視点から見た母子保健シンポジウムを行う予定である。
以上のように、医学部保健学科地域連携センターでは、それぞれの医療的サポートだけでなく、地域からの課題を国際的な視点からも見つめ直していこうと活動してきている。

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